味の素株式会社は、カプシエイト類の一種で、同社独自の抗肥満素材であるジヒドロカプシエイト※1について、2012年11月の食品・飲料用途に続き、2015年9月18日に欧州委員会よりサプリメントおよび粉末飲料用途でNovel Food(新規食品)(以下「ノベルフード」)の認可を追加取得しました。これにより、欧州連合(EU)加盟28カ国において食品・飲料に加えて、サプリメントや粉末飲料への利用が可能になります。
ノベルフードの認可は1997年にEUが導入した「新規食品に関する規則」に基づいて、同規則導入以前に欧州でほとんど消費されていなかった食品成分がEU域内で流通するために必要とされる制度です。これは、科学的データや安全性に関する情報をもとに、欧州食品安全機関(EFSA)によってヒトの体に悪影響がないことが徹底的に評価、審査され、欧州委員会の承認を経て取得できるものです。
ジヒドロカプシエイトは、エネルギー代謝を亢進させる作用が確認されており、抗肥満効果が期待されています。同社は、独自の酵素技術によって、このジヒドロカプシエイトのより安定的な生産と供給を可能にしました。
近年、肥満は世界的な健康課題の1つとなっており、特に欧米では深刻な問題となっています。そうした社会環境の下、ジヒドロカプシエイトは、米国ではすでにNDI※2(2007年)やGRAS※3(2009年)の届出が受理されています。欧州では2012年に欧州委員会より食品・飲料用途でノベルフードの認可を取得し、今回、新たにサプリメントおよび粉末飲料用途で認可を取得しました。また、メキシコでも2015年7月14日に食品用途について新規食品原料の届出が受理されました。同社は今後、欧州をはじめ米国、メキシコなどグローバルに、様々な食品やサプリメントへの機能性素材の供給を拡大していきます。
同社グループは、21世紀の人類社会の課題である「健康な生活」「地球持続性」「食資源」に事業を通じて貢献していきます。
◎用語説明
※1:ジヒドロカプシエイト
ジヒドロカプシエイトは辛くないトウガラシ「CH-19甘(アマ)」から同定されたカプシエイト類の1種です。カプシエイト類はトウガラシの辛み成分であるカプサイシンと構造が類似していますが、その辛みや刺激性は非常に弱く、カプサイシンの辛さの約1/1000です。
カプシエイト類にはエネルギー消費の指標である酸素消費量の増加や褐色脂肪組織*の活性化が認められており、国内外の専門家から注目を集めています。
*褐色脂肪組織: 組織(細胞)内で脂肪を分解し、熱を産生します。全身のエネルギー消費量の調節を担い、体脂肪量の減少に寄与することが近年の研究で明らかになっています。
※2:NDI
NDIはNew Dietary Ingredient(新規サプリメント成分)の略であり、1994年10月に施行されたDSHEA(Dietary Supplement Health and Education Act:栄養補助食品健康教育法)において、当該成分の米国市場導入75日以前にFDAへの届出が義務づけられています。提出されたNDIの届出は、FDAにおいて、その安全性を中心に評価されます。
※3:GRAS
GRASとはGenerally Recognized as Safeの略で、1958年に米国食品医薬局(FDA)が定めた制度で、食品に使用する物質について使用条件下で一般に安全と考えられるかどうか、専門の学識経験者により客観的な評価を行う制度です。米国では、食品(サプリメントは除く)に使用する新たな物質については、食品添加物としての認可やGRASであることを確認する必要があります。
【詳細は下記URLをご参照ください】
・味の素株式会社 2015年10月22日発表(リリース)
・味の素株式会社 ホームページ