社福協は4日、都内で「第16回 健康食品フォーラム」を開催した。「食品、健康食品の安全性確保の取り組み」のテーマで行われた同フォーラムには、多数の参加者が集まった。
消費者の食の安全意識がますます高まり、健康食品の安全性第三者認証制度のスタートを目前に控えたフォーラムは「安全」をキーワードに各講演者が、専門分野ついて講演した。
最初に国立医薬品食品衛生研究所副所長の大野泰雄氏が「『健康食品』の安全性確保の方向性」の題目で、これまでの取り組みについて説明。「『健康 食品』安全性確保に関する検討会」の趣旨や内容を含め、目前に迫った安全性第三者認証制度スタートの土壌となる、社会的背景や関連制度見直しの流れなどを 解説した。
続いて医薬情報研究所(株)エス・アイ・シー取締役で医薬情報部門責任者の堀美智子氏が「医薬品とサプリメントの相互作用」のテーマで講演。実際 に薬局の店頭の立つ立場から具体例を挙げ、医薬品とサプリメントあり方について語った。カリウムとの相互作用、甘草と偽アルドステロン症など、摂取バラン スや相互作用の見極めの難しさについて事例を挙げて解説。その上でそういった情報の医療関係者、生活者による共有システムの構築を切望した。
東京都福祉保険局健康安全部副参事食品医薬品情報担当の新井英人氏は東京都の「健康食品の安全性確保の取り組み」について説明。疑わしき商品の試 買調査や健康食品取扱事業者講習会などによる事業者の指導・支援活動、ホームページを活用した情報発信などによる都民への普及啓発活動を行っていることを 報告した。また、平成19年度の試買調査で男性機能向上を標榜する製品6品目、健康茶を標榜する製品1製品から医薬品類似成分などが検出されたことを明か した。
東大名誉教授で日本大学生物資源科学部教授の上野川修一氏は「機能性食品の安全性について」と題し、機能性食品誕生期から関わってきた同ジャンル の安全性に関し解説。基本的な考え方として、食経験、in vitro、および動物を用いたin vivo試験、ヒト試験が必要とした。in vitro、および動物を用いたin vivo試験については、医薬品でも用いられているが、全項目でないことも補足した。
最後に講演者全員が参加してのパネルディスカッションを開催。堀氏が「現場でせっかく推奨してもマスコミ報道によって簡単に流れが変わる。正しい 情報を正しく伝えることは大切なこと」と訴えると、食品安全委員会にも名を連ねる上野川氏は「あくまでも正しく使ってもらう意味での情報発信で(素材な ど)叩く意味は全然ない」と困惑気味に話した。新井氏は「健康食品に関する健康被害の多くは事業者側の発する情報と受け取る消費者のミスマッチ」と指摘。 大野氏は「健康食品の難しさは有効性を言わないと意味がないが効き過ぎると医薬品範疇になる。効き目の薄いものを明確に証明するのは困難」と悩ましげに 語った。
参加した事業者からも多くの質問が飛び交い、健康食品の安全性については、関心は高いが、一方で難しい問題であることが改めて浮き彫りとなるフォーラムとなった。