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エステ業界初の前受金保全措置導入開始

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(株)日本ビューティコーポレーション(東京都中央区、力石弘明社長)はこのほど、前受金保全措置を開始した。同社が展開する顔専門のエスティックサロン「アップルマインド」全24店舗で導入する。エステティック業界では初の試みとなる。
同措置は、毎月末時点のサービス未提供額を信託保全するよう設定するもの。一括払いが多いエステサービスにあって、消費者リスクを極力抑え、根本の部分から安心・安全のサービスを保証する仕組みといえる。
耳慣れない制度だが、すでに導入を開始した同社の場合で内容をみてみよう。(1)顧客からコース契約代金(前受金)を預かる(2)その後、毎月末日時点での全てのサービス未提供分を三井住友銀行に信託(3)経営資産とは別勘定で管理。(2)と(3)により、万が一、サービス未消化期間に同社が事業継続困難になった場合でも預かり金が保全されるため、顧客は長期のコースでも安心して契約することができる。
「実際にこの制度についてお客様にご説明申し上げても正直なところ、あまりピンと来る方はいないようです。しかし、それは”払ったお金は必ず返ってくる”、と信じているからだと思います。本来は当然そうあるべきなのですが、昨今では、突然倒産するなどで、払い損している例も増えてきています。まずは弊社でも卸先に対して同措置を積極的に導入することを呼びかけたいと思っています。その上で今後、業界の健全化が図られていくことに期待しています」と同社・大町有利子氏。
例えばエステティックサロンの場合、継続的に行うことで成果がみられる特質のものが多いこともあり、長期のコース契約が主流となる傾向がある。それ自体は問題ないが、仮にサービス期間内にその業者が倒産した場合、業者には預かった前受金を返還する義務はない。従って、「万が一」の場合だとしても、消費者は、残念ながら払い損となっても仕方がない状況にある。
消費者に不安を与える背景があるにもかかわらず、同措置が取り入れられていない理由は大きくは2つある。ひとつは法律で義務付けられていない点。もうひとつは、導入には銀行の信用を得るだけの健全な財務体質が求められる点だ。多くのエステは拡大戦略をとるため、前受金を設備投資等に回しがちになる。加えて、消費者にもそれほど危機感がなく、どうしても軽視されがちになってしまう。
前受金保全措置の対象となるのは、特定商取引法が指定する「特定継続的役務」を提供する業者でエステのほか、語学教室、学習塾、家庭教師、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの6業種。いずれもコース契約が主流の業種だが、同措置を導入している企業はまだまだ少ないのが現状。全業種でも5社にも及ばないといわれている。
同社では、前受金保全措置のほか、今年1月よりNPO法人日本エステティック機構が適正なエステティックサロンに与える「エステティックサロン認証」を直営全24店舗で取得。エステサロンとして、しっかりと消費者の信頼を受けるあり方を徹底して実践している。