「第4回医薬品新販売制度に関する検討会」が2009年4月16日、都内で行われた。同検討会では、前回の委員から要望受け、エンドユーザー5人が参加し、医薬品を購入する末端の代表として、肉声でその実情を報告した。
最初に報告したのは東京都在住の男性。多忙なため、医薬品の購入は専らネット通販という男性は「薬局で買ったこともあるが、薬剤師から得られる情報は箱に書いてある程度のものしかもらったことがない。むしろ、ネットでのほうが情報が多い。そういったことを踏まえても対面を理由にネットが規制されるのは不自然」とネット販売の利便性・優位性を強調した。
都内在住で視覚障害のある男性は「我々にとって外出・移動、コミュニケーションの2つは大きな障害。そうした中で、パソコンを使うと家にいながらショッピングができ、医薬品の購入に関しても店頭で点字などがついた商品がほとんどないのに対し、音声の出るパソコンを活用すればその内容が把握できる。これはツールとしても非常に有意義で、障害者の自立、という観点でも役に立つもの。規制はそういった便利な生活を奪うことになる」と訴えた。
千葉県在住の女性は、数年前トイレにもはっていくほどの重度の神経痛を患い、ワラにもすがる思いで通信販売で医薬品を購入。その際のこととして「電話でのやりでしたが、本当に親切に対応頂き、やがて信頼関係が築かれました。それが今回の規制により、出来なくなるというのは考えられません」と対面が原則となる改正薬事法施行後の通信販売への規制に疑問を呈した。
医薬品の購入が困難とされる離島・僻地を代表して鹿児島県・奄美大島から出席した女性は「確かに移動などが大変で本土と比べ不便ですが、僻地診療所もあり医薬品の入手の困難は感じておりません。そもそも顔が見えないでモノを買うのには不安を感じます」と証言。入手困難地域でのネットの利便性を訴えていた、ネット販売規制反対派に”異論”を投じる格好となった。
最後に東京都在住の主婦が報告。「昔から近所の薬局でお世話になっています。なにかあればすぐに相談に行き、どんなことにも的確に答えてくれるので頼りになります。子どもたちにもこういう形を伝えていきたい」と対面による医薬品の販売の安心感・信頼感をアピールした。
この日参加したエンドユーザーの声では、検討会同様、意見が2つに分かれる結果となった。
その後、検討会は過去3回の論点を整理した資料を基に意見交換を再開。これまでに意見は概ね出尽くした感があり、専ら論点の確認と再吟味となった。だが、終盤、全国薬害被害者団体連絡協議会の増山ゆかり氏が「ここに出席されているネット業者の方の意見はともかく、それによって全てのネット業者が悪質な販売等をしなくなるのか」と発言すると議論は一気に白熱。日本オンラインドラッグ協会理事長の後藤玄利氏が「まさにそういった部分がこの検討会の核心であり、この場はそういう議論をするものだ思っている。一体どうすれば、ネットで医薬品を販売できるのか、それについて私どもはこれまでもずっと検討してきております」と吐き出した。
エンドユーザーの切実な肉声でスタートした4回目の検討会では、さらに論点の整理は進んだ。一方で堂々巡りのムードも漂い、前回に続き「もう終わりでいい」との過激な声も聞かれた。そうした中で井村座長は「核心部分を中心とすると話は進みづらい部分もあるが、非常に重要であり、もう少し話合い、問題点を鮮明にしていきたい」と次回以降、さらに核心に踏み込み、議論を深めていくことを約束し、終幕となった。
次回の検討会は、今月末の予定。改正薬事法施行の6月1日まで残された時間はあと46日、である。