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医薬品ネット販売巡る攻防がひとまず終結

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「第7回医薬品新販売制度に関する検討会」が2009年5月22日、都内で行われた。6月1日の改正薬事法施行を前にした最後の会合とあって、白熱したが、結局大きな進展は見られぬまま終幕となった。

「きょうの議論は省令案に反映されるのか」「何のための会合なのか」。検討会のスタート直前、楽天社長の三木谷委員の怒号が響いた。これまで約3ヵ月、6度に渡り、検討会が行われてきたが、省令の一部改正が厚労省の独断で進められてことで、厚労省に対する溜まっていた不信感が爆発した。

不穏なムードでしたスタートした検討会は、最初の議題が省令の一部改正について募集したパブリックコメント(5月12日から5月18日)について。その結果が、経過措置を設けるという改正案への賛成が全体のわずか0.5%の42件に対し、「郵便等の販売を規制するべきではない」が同84.9%、8333件だったことでネット販売規制反対派の不満の炎に油を注ぐ格好となった。

「賛成がわずか0.5%で反映しないのはどうことなのか」「規制すべきでないという意見を反映しないなら何のための意見募集なのか」「そもそも離島、僻地の概念がおかしい」など、独断で省令の一部改正を進めた厚労省事務局に、三木谷委員のみならず一部の規制賛成派も交じり、多くの委員から不満の矛先が集中した。なかには「一体どうすれば、行政側のハードルはクリアできるのか」という諦めにも近い声もでた。

さらに「このまま穴だらけの経過措置で進んで大丈夫なのか」という厳しい意見も出された。これまで3ヵ月にわたる議論そのものの見直すべきという声もあがり、話は「対面原則」という根本的な部分にも及んだ。「本人が購入するとは限らないワケで、そこに対面の意味はあるのか」という疑問が投げかけられ、足高委員からは「対面の原則を打ち出す以上それに対するキチッとしたルールを作って欲しい」という要望が出された。

施行前最後の検討会とあって各委員から活発に意見が出されたが、ムードは“消化試合”の様相を拭えず、会場の温度だけがむなしく上がった。最後に座長の井村氏が厚労省の省令一部改正案に対し、このままいくのであればできる限り細かいところをキチッと明確にして責任を持って施行に臨んでほしい、と事務局に要望。出席委員に対しては「それなりの意義はあった。最後まで真剣に議論していただき感謝している」とした上で、今後もでき得る施策を行い、改正薬事法の施行後も円滑な活動に務めるよう要請し、7度に渡る検討会の幕をおろした。

さまざまな意見が出たものの、総じてその焦点はボケがちで意見がかみ合わず、結果的にネットでの医薬品販売の規制緩和に一縷の望みを託していた反対派にとっては事実上の“ゼロ回答”となった検討会。とりあえず、6月1日以降は2年の経過措置のもと、一部を除きネット等での医薬品の販売には規制がかかることになる。

とはいえ、楽天社長・三木谷浩史氏は訴訟も視野に入れ断固反対の姿勢を表明、ケンコーコム社長の後藤玄利氏も週明けに会見を予定するなど、規制反対派は今後も規制緩和へ向けたアクションを続けていく意向で、消費者の反応などによっては大きなうねりへと発展していく可能性もある。

2009年05月22日 21:49