ケンコーコム(株)(東京都港区、後藤玄利社長)とウェルネット(神奈川県横浜市、尾藤昌道社長)が医薬品のネット販売の権利確認請求、意見・違法省令無効確認・取消を求めて提起した行政訴訟の第2回口頭弁論が2009年9月1日、東京地方裁判所で開かれた。
原告側の求釈明に対する回答が注目された同弁論だったが、必要性があるとは思えないなどの被告側の判断で回答は見送られ、9月30日の第3回口頭弁論へ持ち越された。一方の原告側はこの日、改正薬事法施行後の状況、改正省令の不合理性などを記した準備書面について陳述した。
弁論を終えたケンコーコム・後藤社長は「6月1日以降、われわれは第一類、第二類医薬品の販売ができず、このままでは年間で5億の売上損失となる。一方で、改正省令を公然と無視してるところがある」と明かし、同社が行った改正薬事法全面施行後の一般用医薬品販売状況調査の結果を公開した。
同レポートによると、ある中堅チェーンドラッグストアの1店舗では、第一類医薬品の空箱をレジに持っていくと、専門家でない店員が対応し、一切の情報提供がないまま、第一類医薬品が購入できたという。さらに日本薬剤師会の役員はじめ、会員の薬剤師が運営する薬局が引き続き郵便等販売を行っている実態が明らかになったという。
こうした状況に対し、後藤社長は「多くの矛盾をはらんだ改悪省令ゆえの結果ともいえる。とはいえ、安全性を強調し、省令による医薬品の郵便等販売規制の導入を積極推進し、導入した日本薬剤師会会員が法令を遵守していない点は極めて遺憾」と怒りをにじませた。
同社、ならびにウェルネットは、日々損失が出ることになるが「外観上存在する以上法令には従う」と改めて話し、今後も引き続き、同訴訟などを通じ、医薬品を全ての国民に安全に平等にかつ安心して届けられる環境づくりのための努力していくことを宣言した。