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コレステロールは低下させる必要なし

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金城学院大学「脂質栄養」オープン・リサーチ・センター(ORS)は2009年10月20日、都内で「コレステロール低下医療と脂質栄養の方向転換」と題し、プレスセミナーを開催。同分野で最先端の研究を続ける研究者らが、従来の常識を覆すコレステロールにまつわる最新の研究成果などを披露した。

 日本脂質栄養学会理事長で富山大学和漢医薬学総合研究所の浜崎智仁氏はズバリ「コレステロールを低下させる必要はありません」のテーマで講演。日本動脈硬化学会が2007年に作成した動脈硬化性疾患予防ガイドラインが、いわゆる悪玉と呼ばれるLDLコレステロール140を上限とし、さらにコレステロールと総死亡率の記述をいまだにしていないことなどを指摘した上で、LDLコレステロールは善玉であり、むしろ健康を示す栄養指標で、わざわざ低下させる必要はない、と明言した。

 東海大学医学部基礎医学系教授の大櫛陽一氏は、「日本人にとってLDLコレステロールと中性脂肪は善玉である」と題し、レクチャー。LDLコレステロールが細胞膜や神経細胞、ホルモンなどの材料となる体に必須の物質であり、中性脂肪も特定の人以外はエネルギー備蓄の物質であり、いずれも善玉であることをさまざまなデータを交え、解説した。

 フランス・グルノーブル大学のMichel de lorgeril教授は「最近のコレステロール低下薬臨床試験:新たな疑問」のテーマで語り、2008-2009年に発表されたコレステロール低下薬の臨床試験は効果がなかった、という結果であり、バイアスも明らかで信用できないものであったと指摘。その上で、コレステロール低下薬として知られるスタチンがコレステロール値を低下させるものの、虚血性心疾患の低減との相関が認められず、コレステロールの低下が心疾患の罹患および脂肪を有意に予防できるという考えを全面的に見直すべき時期にきていると問題提起した。

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金城学院大学特任教授でORSセンター長の奥山治美氏は、「コレステロール仮説の崩壊と動物性油脂の復権」を題材に、これまで常識とされてきた“動物性脂肪とコレステロールの摂取量を減らし、高リノール酸油を増やすと血中の総コレステロール値が低下し、動脈硬化が予防できる”という仮説が、実は危険であると力説。その根拠として、これまでの実験データの不備や、同仮説に基づく栄養指導を長期継続しても血中総コレステロール値は下がらず、むしろ心臓病の死亡率が上がったとする最新データなどを公開し、解説した。

 Michel de lorgeril教授以外の3人は「脂質栄養関係 医・薬・保健学者 十人委員会」に名を連ね、厚生労働省のホームページに掲載されている「生活習慣病を知ろう!」、健康局総務課生活習慣病対策室について、食事による予防法のうち、脂質栄養に関わる内容が古く、危険であるなどとして、昨年4月、根拠とともにその修正を要請している。

2009年10月20日 20:51