澁谷工業(石川県金沢市)は、新たな構想による、高速処理が可能な電子線滅菌方式の「飲料用PETボトルEB無菌充填システム」を開発した。独自開発の電子線発生装置を搭載し、500㍉㍑ボトルで最大毎分800本の高速処理を実現したもので、今後同システムの販売は順次新型に切り替えていくとしている。
同社は平成18年に世界で初めて、電子線滅菌による「飲料用PETボトルEB無菌充填システム」を開発し、すでに国内外で実績を持つが、ここにきて市場環境の急速な変化に伴い、より高速なシステムが要望されている。PETボトルの無菌充填システムの要求能力は、これまで500㍉㍑ボトルで毎分600本が主流であったが、現在では毎分800本以上が要求されている。大型や小型ボトルの兼用も増えている。
加えて、PETボトルの形状も多様性に富むようになり、形状によっては電子線の透過性が劣り滅菌処理速度が上げられないケースも発生しているという。
今回開発のPETボトルEB滅菌システムは、500㍉㍑ボトルで最大毎分800本の高速処理が可能。高速処理を可能とするため、次のような対応を図っている。
まず、既存の電子線発生装置の仕様では、高速化のニーズに柔軟に対応できず、そのため同装置では、同社が新たに独自開発した電子線発生装置を搭載している。この新型電子線発生装置は、加速電圧やビーム電流を増大することにより、処理能力や適用範囲の拡大を実現している。
次いで、従来のEB滅菌システムはPETボトルを電子線照射部に2回通過させる構造であったが、同装置では、1回通過でボトル全域が滅菌できる構造となっている。
今後のPETボトルEB滅菌システムの販売は、新型に順次切り替えていく予定であり、搭載する電子線発生装置については、従来の発生装置と新開発の自社製発生装置を、ユーザーのニーズにマッチさせながら選択使用していく予定としている。