財団法人ライオン歯科衛生研究所は、 日本大学歯学部衛生学教室、 前野正夫教授と共同で 「歯周病とメタボリックシンドロームとの関連性」 について研究を進める中で、 初回健診でメタボリックシンドローム指標 (肥満・血圧・脂質・血糖値) が全て基準値内と診断された人について、 4年後の健診結果を追跡調査し、 初回健診での歯周病の有無 (歯周ポケット有無で判定) と、 4年後のメタボリックシンドローム発症との関連性について統計学的解析を行った。
今回の調査は、 20~56歳の有職者1023名 (男性727名、 女性296名) を対象とし、 メタボリックシンドローム指標となる4項目 (肥満・血圧・脂質・血糖値) と、 歯周病の判定基準となるCPIを測定した。 初回健診でメタボリックシンドローム指標4項目のいずれも基準値内の人を対象者とし、 歯周ポケットの有無 (CPI測定) によりグループを分け、 それぞれのグループのメタボリックシンドローム指標4項目の4年後の変化を解析したところ、 対象者の初回歯科健診で、 “歯周ポケット有”の人は全体の20・0%だった。
4年後にメタボリックシンドローム指標が陽性化した項目数が2つ以上ある人の割合は、 初回健診において歯周ポケット有の人の方が有意に高く、 4年後に 「血圧」 「脂質」 の検査結果が陽性になる人の割合も、 初回健診で歯周ポケット有の人の方が有意に高くなることが認められた。
これにより、 「歯周病」 と 「メタボリックシンドローム指標の陽性化」 には関連性があることが明らかになった。
以上のことから、 歯周ポケットを保有している人は、 現在は健康でも、 将来メタボリックシンドロームの発症リスクが高くなる傾向があるため、 健康な状態を保つうえで歯周病ケアに留意する必要があることが示唆された。
なお同研究所は、 この研究成果を10月11日に開催された 「第58回日本口腔衛生学会」 にて発表している。