150度Cの超耐熱性を誇る透明A-PET容器がいよいよ本格的に動き始めた。有力容器メーカー、 ダイヤフーズ(大阪府池田市)は、本年7月、鹿児島工場(鹿児島県鹿児島市)に自社開発の専用大型成形機を導入・設置し、世界初の「透明耐熱A-PET容器」の成形テストを重ねてきたが、ついに量産化を実現した。第1段として、耐熱150度Cと同100~110度Cの2タイプをラインナップしたが、安心・安全な透明超耐熱A-PET容器へのニーズは高く、今後各分野で需要が高まると多いに注目される。
同社は、08年夏、電子レンジへの対応を可能とする、世界初の「透明耐熱A-PET容器」の開発に成功した。従来不可能とされた150度Cまでの耐熱性を独自成形技術により、一切添加剤を使用せず、ヘイズ2%の透明な形で実現し、大変な反響を呼んだ。
当時はテスト機レベルであったが、本格生産するため実用型大型成形機を自社開発し、09年7月初め、鹿児島工場に導入。同工場内で押出機によりシーティングし、延伸機で延伸されたA-PETシートを用いて繰り返し成形テストを行ってきた。この結果、量産化しても耐熱性・透明度などが良好な点から、いよいよ本格生産を開始することになったもの。
PET容器は「耐熱性60度Cの透明なA-PET」と「耐熱性220度Cの不透明(白色)なC-PET」が現存している。だが、「透明性と耐熱性を併せ持つPET容器」が存在しないため、業界で大きな開発テーマとなっている。
同社では、1998年(平成11年)に鹿児島県の研究開発助成事業により開発に取り組み、延伸機や専用成形機などを導入して研究を進めた。当初、単発成形やヘイズ6%程度の耐熱容器しか成形できなかったが、08年、ついに目標レベルの耐熱・透明容器を連続成形することに成功。東京パックで公開したほか、09年、ミニスーパーでの「唐揚げ容器フタ材」のテスト販売でも良好な結果を得た。
A-PETに耐熱性を付与するにはシーティング、延伸、容器成形、金型の4工程が関わる。延伸をかければ一応耐熱性が付与されることは明らかになっており、業界でほぼその範囲が特定されているという。同社では特に成形メーカーの立場から容器成形と金型をポイントとして、成形機・金型ともに自社開発する形で透明耐熱A-PET容器の製品化を実現した。
現在、高さ35㍉以下のトレーや弁当フタ材用などとして量産化を進めているのが、耐熱150度Cと同100~110度Cの2種類。耐熱150度Cの透明度はヘーズ1・0~2・0の最高レベル。同100~110度Cの透明度はヘイズ4~5だが、耐熱150度Cタイプと遜色ない。ともに電子レンジ使用可能。ガスバリア性もA-PETの2~4倍。リサイクル性(添加剤を一切使用しない100%PET素材)、安全性(食品衛生法に適合)にも優れる。
用途としては、弁当・焼きそば・お好み焼き・たこ焼き・寿司・魚・唐揚げ用容器やフタ材など、広範な分野が挙げられている。
同社では、「世界初の透明超耐熱A-PET容器を電子レンジ対応などのニーズに合わせて世に広めたい」として、09年12月をめどに本格供給を開始する意向。