セルフ化粧品市場は2008年までの5年間ほど、 横ばい状態が続いた。
ただ、 百貨店の販売不振が続く中、 セルフ化粧品市場の中心的な役割を担うドラッグストアでも、 化粧品が苦戦を強いられている状況がうかがえる。
経済産業省が発表した1~9月累計の化粧品出荷統計によると、 金額は7・4%減、 個数が4・5%減となり、 もはや販路の垣根を越えて化粧品市場全体に逆風が吹き荒れているといえそうだ。
某ドラッグチェーンの社長によると、 化粧品の苦戦は 「昨年11月から顕著になり、 百貨店の顧客がドラッグストアに流れるという不況時によくあるケースが、 今回の不況には該当せず、 スキンケアでは単価下落に加え、 購入ライン数の減少も目立ち、 メークアップも落ち込んでいる」 という。
化粧品市場の縮小要因として、 セルフ市場における 「中価格帯」 から 「低価格帯」 へのシフトが進んでいることは、 一般的に指摘されているが、 それを裏付ける発言といえる。
それでも、 矢野経済が発表したドラッグストア各社へのアンケート調査によると、 化粧品を 「重点分野」 と位置づけるドラッグストアは多いようだ。 専用カウンターを設けて美容部員によるカンセリングを実施する 「ビューティ特化型」 店舗の開店も目立っている。
ただ、 やはり肝心なのは 「商品力」 だ。 前出の社長は 「財布事情が厳しい中で、 それでも買いたいと思わせるブランドの投入も少ない」 と嘆く。
メーカーや小売、 卸が消費者起点に立った売場づくり・商品づくりをより一層推進することによる、 今後のセルフ市場の巻き返しに期待したい。