「第7回 健康食品の表示に関する検討会」が2010年3月18日、消費者庁で行われた。
最初に東大大学院医学系研究科教授の佐々木敏氏が、介入を行いそれが結果因子に与える効果を検証する疫学研究である「介入試験」について解説。その上で試験クオリティの高さは、信頼度の高さに比例するが、大切なことは結果よりも研究デザインやその測定方法であると主張した。
続いて消費者庁が、特定保健用食品(トクホ)の審査過程における各機関の審査内容と公表事項について説明。(1)消費者庁が申請受理を行い、(2)消費者委員会の新開発食品評価調査会による有効性・安全性審査、(3)食品安全委員会による安全性評価、(4)消費者委員会新開発食品調査部会の有効性および安全性審査、(5)消費者庁の許可、という一連の流れについて、チェック項目やその観点などについて明らかにした。
また、消費者庁は、ネット監視業務についても報告。現状では、ロボット型全文検索システムを用い、ガン、糖尿病、肝炎といったキーワードを巡回監視。健康増進法に基づき、不適切と思われるものについて、掲載事業者に対し、修正・削除等の対応を講じるよう、メールで警告していることを明かした。
次に消費者団体サイドの各委員が、不適切と思われる広告表現などを提示。健康食品を取り巻く広告表示・表現の現状について、議論を深めた。「かなりひどい状況で規制を強めるべき」といった声もあがったが、国民生活センター調査役・宗林さおり委員の「効能効果の表示に対する規制も必要かもしれないが、そればかりでなく、本当に機能性があるモノならば、それがどの程度のレベルであるかなど、消費者に分かりやすい形の表示のあり方を考えることも必要」との意見には多くの委員がうなずいていた。
その後の自由討議では、そうした流れに乗るように、どういう表示ならば消費者が惑うことなく商品を選択できるのか、企業はどう責任を持って対処すべきか、など検討会の本来のテーマに沿った議論や意見が飛び交った。具体的には、各業界団体などによる自主規制の徹底。それに付随した行政との連携強化。“有効性保証レベル別表示”の採用などが、提示された。
案によっては、実現となると多くの課題を含むものもあるが、7回目となった検討会は、健康食品を取り巻く現行各法の徹底とそれを補完、サポートする新たな表示制度の設立というテーマが論点のひとつとして絞られつつあるムードで幕を閉じた。次回、4月14日の第8回検討会で、論点整理へ向けた意見交換は終了、5月からの3回でいよいよ論点整理へと突入する。
<出席者>
(委員)
太田 明一 健康と食品懇話会相談役
鬼武 一夫 日本生活協同組合連合会組織推進本部安全政策推進室長
神山 美智子 食の安全・監視市民委員会代表・弁護士
神田 敏子 前全国消費者団体連絡会事務局長
佐々木 敏 東京大学大学院医学系研究科教授(座長代理)
宗林 さおり (独)国民生活センター調査役
田中 平三 甲子園大学学長(座長)
徳留 信寛 (独)国立健康・栄養研究所理事長
中下 裕子 中央大学法科大学院客員教授・弁護士
浜野 弘昭 NPO法人国際生命科学研究機構事務局長
林 裕造 (財)日本健康・栄養食品協会理事長
宮島 和美 (社)日本通信販売協会副会長
山根 香織 主婦連合会会長
(事務局)
内田 俊一 消費者庁長官
田中 孝文 消費者庁次長
原 敏弘 消費者庁審議官
相本 浩志 消費者庁食品表示課長
平中 隆司 消費者庁食品表示課長補佐
芳賀 めぐみ 消費者庁食品表示課衛生調査官