(財)日本健康・栄養食品協会(東京都新宿区、林裕造理事長)は2010年3月23日、2009年度の特定保健用食品(トクホ)市場規模が5494億円(メーカー希望小売価格ベース)と推定されることを報告した。1997年の調査開始以来、初めて減少した。2009年12月末現在でトクホ表示許可を取得した企業にアンケート調査を行い、その集計結果を中心に推定した。
調査開始以来、順調に拡大してきたトクホの市場規模は、景気後退の波を受け、初めて縮小(図1)。前回調査の2007年から1304億円減、80.8%と大きく後退した。
保健の用途別規模(表1)では、ほとんどが前回調査時を下回ったが、「骨・ミネラル」、が07年比262.8%と大きく増加した。一方で、前回、大きく伸長した「中性脂肪・体脂肪」は、エコナ問題などで信頼性に不安が発生した影響で前回を大きく下回った。
表示許可・承認の総数は2009年12月末現在で883品目(図3)となった。2008円1月2009年12月の2年間で表示許可を受けたトクホ食品は190品目で、うち2009年の表示許可は100品目で2007年に次ぐ許可数となったが、再許可品目が多かった。
販売経路別市場構成(表4)では、通信販売の売上増が際立った。前回調査時から71億円増の132億円となり、2.2倍のアップ、販売経路として確固たるポジションを築きつつある。その他、ドラッグ・薬局も大きく数字を伸ばし、297億円と300億円に迫った。
いわゆる健康食品と違い、ヘルスクレームで効果・効能を訴求できるトクホ市場は、これまで景気の影響を受けず、着実に消費者の支持を集め、膨らんできた。しかし、今回の調査期間についていえば、世界的不況、消費者庁移行に伴う体制作りなどによる表示許可業務の遅れ、さらにエコナ問題など、マイナス要因が重なり失速した。
とはいえ、消費者にとって分かりやすいトクホは、健康生活をサポートする食品としてのニーズが高い。メタボリックシンドローム対策でも活躍する場面が多く、厚労省から引き継いだ消費者庁の体制も固まりつつある。信頼回復とともに、まだまだ課題も多いトクホが今後、どのような形で市場を回復していくのかは、閉塞感漂う健康食品市場の行く末とともに注目される。