(株)東洋新薬(本社:福岡県福岡市、本部:佐賀県鳥栖市、代表取締役:服部利光)は、武蔵野大学 油田正樹教授と共同で『葛の花エキス』の肝臓に対する作用メカニズムを確認、日本薬学会 第130年会で発表した。
葛はマメ科のつる性植物で、乾燥させた根は漢方薬の原料として葛根湯などに使用されている。『葛の花エキス』は、葛の花部から抽出した機能性食品素材で、イソフラボンとサポニンを含有する。
同社はこれまでに、葛の花エキスに体重増加抑制作用および内臓脂肪蓄積抑制作用があることを確認している。今回は、武蔵野大学 油田正樹教授と共同で研究を行い、葛の花エキスの細胞試験による肝臓に対する作用を確認した。
同結果は、日本薬学会第130年会〔2010年3月28日(日)~30日(火)、岡山・桃太郎アリーナ〕で発表した。
■ 発表骨子
ヒト肝癌由来HepG2細胞〔注1〕を用いて、葛の花エキスおよび葛の花エキスのイソフラボン画分〔注2〕が肝臓に及ぼす作用を検討した。この細胞に、脂肪滴を蓄積させる処理を施し、脂肪滴蓄積肝細胞を作製した。その脂肪滴蓄積モデル肝細胞に、葛の花エキスおよび葛の花エキスのイソフラボン画分を添加して48時間培養し、細胞内の中性脂肪量を測定した。これを、葛の花エキスおよびそのイソフラボン画分を添加せずに培養した(通常培養した)対照と比較した。
その結果、葛の花エキスを添加して培養した脂肪滴蓄積モデル肝細胞の中性脂肪量は、対照に比べ、葛の花エキスの添加濃度に依存して少なくなる傾向にあった。また、葛の花エキスのイソフラボン画分を添加した場合も、対照に比べ、中性脂肪量が減少した。
今回の結果から、『葛の花エキス』は肝臓に対する脂肪蓄積を抑制し、その作用は少なくともイソフラボンが関与している可能性が示唆された。
〔注1〕 ヒト肝癌由来細胞HepG2
ヒトの肝癌由来の細胞株のこと。肝臓の機能に関する研究によく用いられる細胞である。
〔注2〕 画分
混合した物を、構成するそれぞれの成分に分けたもの。