レモンに血圧上昇抑制作用があることが分かった。県立広島大学保健福祉学部(広島県三原市)堂本時夫(=どうもと ときお)教授を中心とする共同研究チームが確認した。
同チームは、2008年からレモン産地の住民を対象に、レモン摂取と健康との関係調査を実施。昨年の中高年女性に続き、今年は、男性も調査対象に加え、調査を行った。その結果、今回の調査では、特に血圧改善の可能性が示唆された。
研究内容は、日本食品科学工学会第57回大会(2010年9月1-3日、東京農業大学)にて学会発表する予定。
【研究概要】
国産レモンの主要産地・広島県瀬戸内地方において、レモン生産に従事する中高年男女102名を対象に、日常的なレモン摂取と健康関連指標との関係を調査。その結果、レモン摂取と血圧との間に高い負の相関を見出したことから、レモン摂取量が多いほど血圧が低くなることが示唆された。
また、高血圧モデル動物を用いた実験を実施し、レモンの主要成分であるクエン酸の摂取が血圧の上昇を抑制することを明らかにした。
その他、レモン摂取量が多いほど血液中の尿酸や中性脂肪が低い値を示すことが分かった。一方、詳細な食事調査により、レモンの主な摂取方法と摂取時間を調べたところ、レモン産地の食習慣として、朝に飲用で摂取していることが明らかになった。
なお、同研究は県立広島大学保健福祉学部堂本時夫教授を研究リーダーとして、広島県果実農業協同組合連合会(JA広島果実連)、JA三原、JA広島ゆたか、株式会社ポッカコーポレーション(本社:愛知県名古屋市、社長:堀雅寿)中央研究所(愛知県北名古屋市)が共同で行った。
<結果概要>
1.レモン摂取と血圧との関係
レモン生産農家の健常な中高年男女を対象に、食事調査および身体計測、血圧・脈波測定、血液分析を実施し、レモン摂取量と各測定値について回帰分析を行った結果、1日あたりの平均レモン摂取量と血圧の間に負の相関が観察され、レモン摂取が多いほど血圧が低くなる傾向を示すことが明らかになった。
2.レモン果汁およびクエン酸の血圧上昇抑制作用(高血圧モデル動物を用いて)
レモン産地での調査において、レモン摂取量と血圧との関係を見出したことから、高血圧症のモデル動物である高血圧自然発症性ラット(SHR : Spontaneously hypertensive rat)に、クエン酸(0.4%)またはレモン果汁(クエン酸として0.4%)を添加した飼料を4週間摂食させたところ、コントロール(無添加)と比較して、投与3週目および4週目の収縮期血圧(最高血圧)が、ともに有意に低値(*p<0.05)を示した。このことより、レモンの抗高血圧成分として、クエン酸の関与が示唆された。
3.レモン摂取量と摂取方法および摂取時間との関係
レモンの摂取量と飲用、野菜料理、魚介料理、肉料理に分類した摂取方法との関係を調べたところ、レモン摂取量は飲用摂取との相関が最も高く、出現頻度も多かったことから、レモン産地において、レモンを多く取る人は飲用で摂取することが多いことが分かった。
また、レモン摂取量と摂取時間との関係を解析した結果、レモンを多くとる人は朝に摂取していることが分かった。このことより、レモン産地の食習慣として、レモンは主に朝、飲用で摂取されていることが分かった。