マルハニチロホールディングスのマルハニチロ食品・化成食品事業部は、 サメやマグロなど水産物由来の機能性原料を医薬品、 化粧品、 食品の各分野で取り揃えている。
化粧品用としては、 サケ白子由来の 「DNA―Na」 とサメ軟骨由来の 「外原規コンドロイチン硫酸ナトリウム」、 発酵法由来の 「外原規ヒアルロン酸Na 『マルハ』」、 深海ザメ肝油由来の 「スクワラン」 の4素材を展開している。
中でも同社は、 化粧品素材としての有効性データを取得したサケ白子由来 「DNA―Na」 のニーズの高まりに期待を寄せている。
同社のサケ白子を利用した原料開発は約25年前の食品用プロタミンまで遡り、 食品・化粧品用DNAとしては、 約15年前から開始してきた。 しかし 「化粧品では、 感触や使用感などが好評で採用されてきたが、 有効性データもなく知名度はなかなか高まってこなかった」 (同社) と食品分野での実績がほとんどだった。 そうした中、 お茶の水大学などとの共同研究から昨年6月、 「サケ白子由来DNAのヒト肌質改善効果」 に関する科学的なデータを取得し、 論文を発表した (「日本化粧品技術者会誌、 第43巻第2号別 刷」)。
「DNA―Na」 を3%配合したクリームと無配合クリーム (コントロール) をそれぞれ肌に12週間塗布して、 肌改善効果を調べたところ、 4、 8、 12週のいずれにおいても、 コントロール群と比べてDNA―Na群の方が、 肌の弾力性は有意に上昇。 12週目には約20%アップした。
また、 12週目においては、 DNA―Na群の水分蒸散量が低下し、 肌の水分が増加する傾向が認められ、 肌への保湿効果が確認された。
それぞれを塗布して実施したブラインド調査アンケートでは、 「顔の肌荒れ」 「顔の肌の色、 つや」 「手荒れ」 のいずれにおいても、 DNA群への高い評価が得られた。
また、 「肌質改善効果」 のほか、 「アンチエイジング効果」 「脳機能改善効果」 「耐久力向上効果」 「悪酔い防止効果」 においても、 有効性の評価データを取得。 そして、 紫外線を吸収する効果も確認されている。
「15年以上前の古い原料だが、 最近になって有効性データを取得した、 いわば“古くて新しい”素材として新たに興味をもってもらえるだろう」 (同社)
先日開催された 「第1回国際化粧品開発展」 でも紹介し、 これまでとは異なる来場者の関心の高さを実感したという。
「内面美容素材としても積極的に紹介していく。 サプリメントや美容ドリンクなどは、 コラーゲンやヒアルロン酸、 DHAなど人気原料配合の商品が出揃った感があり、 差別化が難しくなっている。 プラス素材として 『DNA―Na』 を組み合わせることで、 他商品との差別化につなげてもらいたい」 (同社)