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環境配慮と経済性向上を実現した輸液セット

ニプロ(大阪市北区)は、「輸液セット」シリーズに新たに「Ecoタイプ」をラインアップし、全国の病院、開業医などの医療機関に向けて販売展開を開始した。最小販売単位を低減し、外装段ボールケース内部の紙製内箱をフィルム包装に形態変更することで、環境配慮と経済性向上を進め市場認知を図る。業界大手のこうした包装改善の取り組みが今後、他メーカーに広がる可能性は高い。

同社は医療機器、医薬品、アンプルなど医薬用硝子器材などを提供する有力メーカー。なかでも輸液セットは、注射剤を静脈内に持続的に注入する点滴静注法に用いられており、一般用輸液セットから微量点滴に最適な定量筒付き精密輸液セット、薬剤非吸着性輸液セットなど、点滴静注における幅広い用途に応える商品群を取り揃え一定のマーケットシェアを有している。

「輸液セットを小さな単位で購入できないか」「医院、病室で必要量だけ購入したい」といった要望に応え、新たに「Ecoタイプ」を商品化し7月1日から展開を開始した。

製品素材には環境ホルモン・ビスフェノールAを排除するため部材にポリカーボネートを不使用とし、チューブなどの医療機器に広く用いられるDEHP可塑剤を使用しない。また必要最小限のシンプル仕様とするため、金属針、タコ管、ゴム管をなくし作業性向上にも寄与した。

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とりわけ1箱50本入りの包装形態から、1袋10本入りフィルム包装に変更し、購入単位を軽減することで在庫スペースの削減を図った。添付文書は袋や段ボールケースに同梱せず(発売6カ月後より)、素材とするPEフィルム包材の裏面全面に印刷を施すなど、廃棄物の削減を提案するものとなっている。

フィルム袋の構造も特長的だ。これまでと同様、EOG(エチレンオキシドガス)滅菌方法によるガスが脱気するように、1本ずつ分包された輸液セットのシール部分にスリットが設けられているが、それを10袋ずつ包装されたフィルム袋の底シール部分にもガスが抜けやすいように一定間隔で通気口が設置し、ガスが抜ける構造とした。開封ノッチとともに表面に大きく設けられたミシン目からも通気するようにし、開封性の向上も図った。

同社では、「患者さんにも地球環境にも配慮した製品としてECO―logy&ECO―nomyを実現するため、徹底的な部材の見直しを進めた」としている。環境配慮に対する具体的行動が注目される中で、パッケージの機能向上を図るとともに、経済性向上をも具現化した同社の取り組みが今後、他メーカーに広がる公算は大きい。

2010年07月30日 19:57