レンゴー(東京都港区) はこのほど、同社開発の「全熱交換素子用セルロース透湿膜」が、平成21年度「セルロース学会技術賞」を受賞したことを発表した。
全熱交換素子とは、換気装置に組み込み、外気と屋内空気を入れ替える際に熱交換を行うための部材で、レンゴーのセロファン製造技術をコア技術として開発されたものが、受賞対象となった。
建築基準法の改正で、シックハウス対策として屋内空気の24時間常時換気が義務付けられており、夏場・冬場などの温度差が大きい季節のエネルギーロスが問題とされるなか、同社の全熱交換素子用セルロース透湿膜を使用した対向流型全熱交換素子(フロンティア産業と共同開発)では、その交換率が80%以上という高効率を実現、評価を得たもの。
同製品は、セロファンの特徴である透湿性に着目、木材由来のセルロースを化学処理して液状にしたビスコースを加工した紙を応用したもので、従来の透湿膜に比べ、湿潤強度が高い。
「セルロース学会技術賞」は、セルロースや関連物質に関する技術についての優秀な研究や発明に対して毎年1回授与されるもので、同社は平成9年度「ビスコパール」、平成16年度「セルガイア」に続いて3回目の受賞となる。
また「全熱交換器」の市場は、年間約40万台、300億円程度と推定されており、環境や省エネ意識の向上や、建築基準法改正(03年)、省エネ法・ビル管理法改正(09年)などで省エネ化が義務付けられ、同素子を組み込んだ全熱交換器の普及が期待され、レンゴーでも新市場として注目しているようだ。