アリエ 石橋社長
――2010年1月期は減収増益決算でした。
石橋 売上高でここ数カ年維持してきた60億円を割り込んでしまったが、 内部努力で増益を死守した格好だった。 今期は7月を折り返した段階で、 出荷数量ベースでいうと約10%減といったイメージになっている。 当社にとって取扱高が上位に来るマスメーカーの影響力が大きく、 大手さんの状況がそのまま製造ラインに反映した格好となっている。 前年同時期と現在を比較した場合、 概ねで傾向は変わっていない。 ただ、 細かいコストダウンが利いて利益は横ばいを維持しているか、 または若干だがアップしている。 市場環境が厳しい現在だが、 現場 (の社員) は頑張っている。
――石橋社長は従来から、 市場観として参入過多を指摘していました。
石橋 異業種からの新規参入が後を絶たないなかで、 グラウンド (市場) から退去した企業の様子は聞こえてこない。 一方で、 人口統計として消費の担い手が減少している以上、 飽和が進んでメーカー・本舗の競争が激化するのは当然の成り行きといえる。 市場のサバイバル化はこの先、 ずっと変わらないと見るべきだと思っている。 サントリーが化粧品事業を本格化したほか、 (訪販だけだった) ヤクルト本社が通販を開始して再注力するという。 こうしたさまざまな事業拡大例のうち、 どの企業が成功するかは注目すべきだと思う。 これは特に化粧品業界に限ったことではなく、 多くの産業界が供給過剰になっている。
――化粧品OEM企業として、 そうした世情を勝ち抜いて行く秘策はありますか。
石橋 生き残っていくための努力はしている。 市場性への対応をボクシングに例えたら、 リングに立ち続けるための何をするべきかを考えることが鍵だと思う。 言い換えると、 トータルで見た企業力を向上するということになる。 商品に本質を求めるクライアント企業から、 単純な価格訴求だけでは満足が得られない。 例としてメーカーに (末端ユーザーとの間で) トラブルが発生した際、 共同した対応で乗り越えるといった企業力を持たなければければならない。 こうした考えを、 最近は顧客企業が徐々に理解し始めてくれているという実感がある。 今下半期も利益を死守していく方針に変わりはない。 また、 複数の新規取引先と商談が進行しているなど、 これが成約してリピートオーダーが安定したら明るい材料になる。 さらに、 エコサート認証の取得により独自のオーガニック化粧品の展開を2009年から開始しており、 この引き合いが高まってきそうな動きもある。 一方で、 地元の神奈川大学と共同で取り組んでいる新しい乳化技術の開発は、 期待がふくらむなかで実用化はいま少し先になりそうな見通しとなっている。 早くも、 採用を希望する取引先がある。