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コーヒーの抗動脈硬化作用の最新研究成果

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(社)全日本コーヒー協会(東京都中央区)は2010年9月17日、都内で「第14回コーヒーサイエンスセミナー」を開催した。毎年10月1日の「コーヒーの日」を控えたこの時期に行われる同セミナー。今回は、コーヒーに含まれるポリフェノールと動脈硬化の関連についての最新の研究成果が報告された。

最初に防衛医科大学内科学講座1助教の近藤春美氏が「コーヒーによるHDLのコレステロール引き抜き促進効果」の演題で講演した。HDLは動脈硬化巣マクロファージの余剰コレステロールを引き抜く機能を担うことから、その増加、もしくは機能を促進する物質の発見が期待されている。近年、コーヒーポリフェーノール(カフェ酸およびフェルラ酸)が、抗動脈硬化作用で注目されており、講演ではコーヒーのHDLによるマクロファージからのコレステロール引き抜きに及ぼす影響を検討した(1)細胞培養実験(2)ヒトを用いた実験(3)マウスを用いた実験、についてそれぞれ解説した。

結果は、いずれの実験においてもコレステロールの引き抜きを示すものだった。そうしたことから近藤氏は「コーヒーはマクロファージからのコレステロール引き抜きを促進してHDL機能を改善し、動脈硬化性疾患を予防していると考えられる」とした。また、その予防効果にはコーヒー中のポリフェノールが寄与する可能性が示唆されるとも話した。

なお、実験では5杯分のコーヒーが使用され、近藤氏によれば、予測レベルとしながら、「飲用後30分から1時間後が、効果のピークだろう」との見解を示した。

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続いてお茶の水女子大学大学院生活環境教育研究センター近藤和雄氏が「コーヒー摂取が血管内皮機能に及ぼす影響の検討」のテーマで講演。血管内皮機能障害が、動脈硬化初期段階において重要な役割を果たすこと、そしてポリフェノールが動脈硬化の進展に予防的に働く可能性が示唆されていることから、コーヒー中のポリフェノールを用い血管内皮機能に与える影響について実験を実施。その結果、コーヒーは血管内皮機能を改善させることで、動脈硬化の発症・進展過程において予防的に働く可能性が示唆されたとした。

かつてコーヒーは「体に悪いもの」とのイメージもあったが、昨今は研究が進み、さまざまな健康効果が明らかになっている。同協会はそうした研究の支援を行い、毎年、その研究成果の報告を行うなどで、世界第三位のコーヒー消費国である日本におけるコーヒーのさらなる普及と啓蒙に努める活動を行っている。

2010年09月17日 21:14