松屋銀座では、 中国人観光客が訪れるという認識はあるものの、 化粧品フロア全体の客数は正確に掴んでいないとう。 その時々の情勢や、 中国の休暇スケジュール (国慶節、 春節) などにも影響を受けるため繁閑の差が大きいそうだ。
「今年は4月のお花見シーズンやゴールデンウィークにたくさんの中国人観光客の方がいらっしゃった。 花見のシーズンには午前中に浅草に集合し墨田川沿いの桜を見てお台場に移動し、 午後に銀座でショッピングといったツアーが組まれることもあるようで、 その影響もあるだろう。 また各社、 7月のビザ解禁によって中国人のお客様が増えるのではないかと見込んでいたが、 4月、 5月ほどではなかったようだ」 (五味渕麻里婦人部MD課バイヤー専門係長)
化粧品フロアで、 外国人観光客の利用が多いのは資生堂で、 多い時にはブランド全体の売上げの約2割を占めるような状況で、 ブランドとしてはホワイトルーセントなどが人気という。 そのほか、 SK―Ⅱやコーセー、 ランコムなどの買い求めがあるが、 ブランド全体の売上げに占める割合からすると1~2%ほどという。 そうした外国人観光客の利用が比較的みられるカウンターでは、 メーカーが中国語の通訳を常駐させている。 また、 常駐スタッフが不在の場合でも対応できるよう、 中国語、 韓国語、 英語のパンフレットも用意しているという。
「売場に通訳スタッフがいなくても、 パンフレットをお見せすることで納得してもらい購入していただくといったケースもある」 (同氏)
また、 同店においても、 化粧品フロア専属ではないが、 中国語の通訳スタッフを常駐させている。
そのほか、 中国を中心とした観光客が増える時期には、 中国人向けの特設ブースを設置し、 増えたお客もしっかりフォローできるような売場づくりも心掛けている。
「化粧品売場の中にプロモーションスペースがあるので、 中国人のお客様が増える時期には、 そのスペースを資生堂さんにお使いいただいている。 また、 その時期に併せて、 メーカーさんとの相談で、 化粧水、 乳液、 美容液、 コットンなどがセットになったキット組みを用意したりすることもある」 (同氏)
PR関連では、 JCBやJTBなどの外国人観光客向けのショッピングガイドブックに、 取り扱いブランドなどを載せた化粧品フロアの紹介なども行っている。
中国人観光客の購買行動の傾向としては、 お土産用というより、 自分用に購入するケースが多くみられる。
カテゴリー別ではスキンケアが圧倒的で、 アイテムでは突出して目立つものはないが、 強いてあげればアイケアやアイマスクといった目元周りの商品が人気だという。 商品の購入金額についてはばらつきが大きく、 人によって様々だという。
「中国人観光客の利用は、 新宿、 渋谷といった他のエリアではあまりなく、 ここまで顕著にみられるのは銀座だけだと聞いている。 銀座であれば中国人の好むラグジュアリブランドがあり、 百貨店もあって非常に便利でお客様の需要を満たせるエリアなのだと思う。 旅行ツアーに、 銀座エリアで買い物時間が組み込まれていることが大きいのではないか」 (同氏)