ケンコーコム(株)(東京都港区、後藤玄利社長)とウェルネット(神奈川県横浜市、尾藤昌道社長)が、医薬品のネット販売の権利確認請求、違憲・違法省令無効確認・取消を求めて提起した行政訴訟の第三回控訴審が2011年2月17日、東京高裁で開かれた。
今回は、前回から裁判官が交代したことを受け、これまでのやり取りの確認などに多くの時間が割かれた。そうした中、原告側は改めて、省令の経過措置期限の5月31日が迫っていることから、早期の結審を要望した。
裁判長も状況を鑑み、被告側へ早期の対応を求めたが、結局、原告側の求釈明に対する回答に「時間がかかる」との理由で、経過措置期限内の結審はきわめて難しくなった。原告側の関葉子弁護士は「国の回答はこちらの争点をずらした骨抜きのもの。充分時間はあったのに回答を全て回避した」とこれまでのやり取りを振り返り、苦虫を噛み潰した。
経過措置期限内の結審に希望を抱いていた後藤社長は「今回の裁判は、薬害エイズ事件と似通っている。業者と行政の癒着構造や都合の悪いところを隠している点で同じだ。このままでは辛うじて経過措置で入手できている人たちも薬を入手できなくなる。政治主導でしっかりやってほしい」と遅々として進まない裁判に苛立ちをみせながら、“政治決着”をも訴えた。
「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令」の経過措置では、薬局・薬店がない離党居住者に対しては、薬局開設者が「薬局製造販売医薬品」と「第2類医薬品」、店舗販売業者が「第2類医薬品」をネットなどによって販売することが2011年5月31日までに限り、認められている。
現在までにケンコーコムは、毎月平均約100万円の売上機会を損失。経過措置が終了すると、さらに月2000件の売上が消失する見込みという。第四回控訴審は、4月28日に行われる。