男性化粧品ブランド「ギャツビー」などを先行して現地展開していたマンダムは、新たな事業領域として国内で好調な女性化粧品を昨年10月に投入し、現地専用のスキンケアブランド「バリアモイスト」を擁して新展開を試みている。
中国の女性化粧品市場が急拡大する中、「ギャツビー」を浸透させた後に女性化粧品を投入する従来型の海外戦略の手法から一転し、「今までとは違うビジネスモデル」(菊池賢治・広報IR室主任)を実践したかたちだ。
「バリアモイスト」は国内ブランド「バリアリペア」を現地向けにアレンジした7製品で構成し、価格は30~100元の中価格帯ラインに設定。TVCMやWebを活用した宣伝のほか、サンプル配布などの施策を通じて認知拡大を図っている。
現状でドラッグストアが中心となる販売チャネルは今後、アイテム数とともに拡大させる方針で、「ギャツビー」との二本柱として育成・拡販したい考えだ。
同社が中国に参入したのは1996年。その後2003年以降に経済が加速度的に成長する中、「本格的に攻めよう」(菊池氏)とギアを上げた。ヘアスタイリング剤を中心とする「ギャツビー」が順調に売上げを重ねる一方、商品・流通面で浮かび上がった課題や市場の変化に対応するため、08年に営業とマーケティング機能に特化した新会社「マンダムチャイナコーポレーション(MCC)」(上海)を設立した。
これを機に、当時140ほどあったアイテム数を一般生活者の価格帯に合わせた約40品にまで絞り込むとともに、ハイパーマート業態に進出するなど流通施策も軌道修正した。以降の売上高は08年以前と同水準を維持しており、効率化が進んだことが明らかになっている。
アイテム数はその後、約60品まで拡大し、業績も上昇傾向にある。直近の開示業績となる2011年3月期第3四半期において、中国を含む「海外その他」の売上高は前年同期比13・9%増と大きく前進している。