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慶応3年創業の澱粉業界トップ企業が化粧品に保水性高い「米澱粉」を提案

1867(慶応3)年に創業した日本コーンスターチ(本社=東京)は、日本で初めてコーンスターチ製造を開始した老舗企業である。菓子類やビール、清涼飲料水などの食品用途は一般的だが、段ボールの接着剤、印刷紙のコーティング剤、繊維などの工業製品にも幅広く応用されている。コーンスターチ製造において市場トップシェアを誇る同社が開発した米澱粉(ライススターチ)が、今年、化粧品原料として採用され、商品が2011年秋に発売される予定である。

米澱粉は100%国産米を精製した原料で、植物由来の素材の中では最も粒子が細かく、大きさが揃っているのが特長だ。また、粒子の細かさから吸油性や保水性にも優れているという。国内産の米を使用している安心・安全性の面からも評価は高い。糊液状、ゲル状の米澱粉について、老化安定性実験を行ったところ、冷蔵条件下においても液が固まりにくいという結果が得られた。

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食品では食感改良に用いられることが多く、添加するとなめらかな口当たりになる。

「カスタードクリームの場合は、みずみずしさが増してなめらかになる。スポンジケーキに入れるとしっとりするし、餅に加えると固くなりにくいなど、他の澱粉に比べ明らかな特性が出る」(中澤正憲氏)

この、「なめらか」になる面や高保湿性に注目した化粧品メーカーが開発したのが「保湿ジェル」である。日本人になじみの深い米に対するイメージや、他の化粧品原料に劣らない吸油性や油分の保持力、保水力、安全性、安価である点が採用の理由という。

他にも、石けんに使用すると泡立ちが良くなる、洗い上がりの泡切れが早いなど、「目に見える長所が表れる」(同社)という。事実、外資系化粧品会社の石けんや、マスカラに使われている実績もある。

霞洋一課長は、「馬鈴薯や小麦は粒子が丸いが米澱粉は角張っているので、洗浄の際のピーリングや汚れをかきとる作用も高い。反対にクリームに入れると、しっとり保湿感が出る。パックに使えば、性質を実感できるのではないか」と、素材の優位性についてこのように説明する。

同社ではトウモロコシやコメを扱う企業として、目下盛んに議論されている食糧自給率の向上にも貢献する使命があるという。化粧品でも、素材を通して「政府規模の取り組みに賛同できる機会」とアピールする。保湿ジェルでの採用を皮切りに、石けんやベビーパウダーなど、多様な分野への展開を進めていく方針だ。

2011年04月28日 20:28