(財)精神・神経科学振興財団は2011年7月25日、「睡眠の日」を新たに制定することを発表した。制定日は3月18日と9月3日の年2回。同財団では、3月を春の、9月を秋の、睡眠の日と位置づけ、前後1週間を睡眠健康週間として、睡眠に関する正しい知識の普及・啓発活動を行う。
制定日について同財団では「3月18日は世界睡眠医学会が定めた世界睡眠の日であり、9月3日は日本独自の設定で語呂合わせの“ぐっすり”に由来する。どちらか1つにする案もあったが、決をとると同数であり、より意識してもらう意味でも2度あってもいいと判断し決定した」と説明した。
記念日を制定を記念し、この日は国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神生理研究部長で日本睡眠学会理事の三島和夫氏が「大災害時 心のケアと睡眠」、愛知医科大学医学部睡眠科教授、同大学病院睡眠科部長で日本睡眠学会副理事長の塩見利明氏が「不眠治療の最前線」の各テーマで講演した。
三島氏は講演で、震災によるストレスはもちろん、多くの現代人が不眠や睡眠リズムの乱れに悩んでいる現状を明かしつつ、短期的なものは正常反応であると指摘。ただし、数ヶ月以上続く場合は、うつ病や生活習慣病の悪化につながる原因になるため、正しい診断と医学的対処が必要であるとした。
塩見氏は、ひと口に不眠といっても、睡眠障害による病気は96種類あるとし、その上で2008年の日本初の睡眠科(院内標榜)の新設、2010年10月の不眠症の認知行動療法(CBTI)外来のオープン、今年に入っての睡眠障害診療ガイド刊行などで、日本でも本格的な睡眠障害の診療を行える基盤が整備されつつあることを報告した。
同財団は、平成3年に設立され、これまで司法精神医療等人材養成研修事業、自殺対策のための戦略研究、こころの健康科学研究推進事業の3つの委託事業を担当してきた。設立20周年にあたる今年は、新たに日本睡眠学会と共同で「睡眠健康推進機構」を組織。良質な睡眠が健康の維持増進に不可欠であることから、これまでの事業と並行し、その普及啓発を行っていく。