ハーバー研究所(本社=東京)がエイジングケアの重点商品として2010年1月に発売した美容液「リフトアップセラム」(15mL3200円)が、2011年5月までの累計販売数量が63万本(15mL換算)に達するなど社内比で出色のヒット商品となっている。
同社の売れ筋商品はこのほか、2003年の発売で同5月までの累計数が580万本という美白の「ホワイトレディ」(現・薬用ホワイトレディ)があって前出の美容液を凌ぐが、現状の勢いは「リフトアップセラム」が勝っている。
同商品の開発を担当した化粧品開発室の前川真一郎シニアエキスパートによると、「リフトアップセラム」を語るうえで欠くことのできない成分の高浸透性ビタミンC誘導体「アプレシエ」は、「水に溶かすとすぐに壊れてしまうし、粉の状態でも空気中の水分や酸素を吸って劣化してしまうなど非常に敏感。市場で流通する製剤にするため相当な苦労を重ねた」として平坦でなかった道のりを語った。
一方で、アプレシエが持つはたらきは非常に魅力が高かったことから、「どうしても使いたい」という開発テーマを掲げて商品化の手を緩めなかった。同素材を配合した美容液の長期安定化を目的とした研究開発のスタートは2007年で、当面のゴールを引き寄せたのは2009年だった。
「詳細は社外秘」だとしたうえで、前川氏は「アプレシエ」の商品化に成功したきっかけについて「(自社の)工場の特殊設備やノウハウをフル稼働させた。アプレシエが透明でシャバシャバな液のなかでも劣化しないことが分かったのは、ひょうたんから駒というか、怪我の功名だった。偶然性や運が味方した面もある」と説明。現在の売れ行きについて、率直に「苦労が報われた」と述べて相好を崩した(写真)。
難産を経た虎の子商品の発売が決まると、同社のマーケティング部隊は2010年早々から「リフトアップセラム」の販促で「100万人モニターキャンペーン」を敢行した。ほぼ通年にわたった同キャンペーンは「単品では前例がない訴求方法」(宣伝・PR部)というもので、同商品を介して多くの新規顧客を獲得する成果があった。
「リフトアップセラム」を発売した直後に開催した四半期決算説明会の席上、同社の小柳昌之社長(現会長)は名称が認可を受けた背景について触れ、通常は効能・効果を暗示する呼称は問題とされる点を引き合いに出し「この製品は『リフトアップ』の名称が受けられるほどに機能性が高い」と述べ、オーナー自ら、商品力をアピールしていた。