(株)東洋新薬(本社:福岡県福岡市、本部:佐賀県鳥栖市、代表取締役:服部利光)は、『葛の花エキスTM』のコレステロールに及ぼす影響をin vivoで確認。第28回和漢医薬学会学術大会(2011年8月27日(土)~28日(日)、富山・富山県民会館)で発表した。
葛はマメ科のつる性植物で、乾燥させた根が漢方薬の原料として葛根湯などに使用される。『葛の花エキスTM』は、葛の花部から抽出した機能性食品素材で、これまでにその中に含まれるイソフラボン類が抗肥満作用に関与していることが確認されている。
今回同社は、武蔵野大学大学院・薬学研究科 油田正樹教授、天使大学大学院・看護栄養学研究科 斉藤昌之教授らと共同研究を行い、メタボリックシンドローム〔注①〕の症状を呈するモデルマウスに『葛の花エキスTM』を継続的に投与することにより、コレステロールに及ぼす影響をin vivoで確認し、第28回和漢医薬学会学術大会において発表した。発表は日本薬科大学・薬学部 久保光志助教が行った。
■ 研究概要
メタボリックシンドロームの諸症状を自然発症する遺伝的素因を持ったマウス(TSODマウス〔注②〕、4週齢)に、葛の花エキスTM(PTE)を5%配合した高脂肪食(WTD)を8週間自由摂食させた後(TSOD PTE 5%群)、肝中コレステロール、およびHDLコレステロール〔注③〕を測定。対照として、葛の花エキスTMを配合していないWTDを与えたTSODマウス(TSOD WTD群)を設けた。
その結果、TSODマウスにPTEを混合した餌を食させた場合(TSOD PTE 5%群)において、PTEを混合していない餌を食させた場合(TSOD WTD群)と比較して、肝中コレステロール値の低下が確認された。また、HDLコレステロールの増加が認められました。
このことから、『葛の花エキスTM』を継続的に摂取することで、コレステロール値を低下させること、またコレステロール代謝を改善する可能性が示唆された。
〔注①〕 メタボリックシンドローム
内臓脂肪の蓄積を基盤として高血糖、高血圧、脂質代謝異常を併発し、心臓病や脳卒中につながる動脈硬化を発症するリスクが高くなった病態のことをいう。診断基準が定められおり、診断項目は①ウエスト、②血糖、血圧、血中脂質である。これらの項目で要件を満たすとメタボリックシンドロームと診断される。
〔注②〕 TSODマウス
TSODとは、Tsumura, Suzuki,Obese Diabetesのそれぞれの頭文字をとった略語である。TSODマウスは内臓脂肪型肥満や高血糖など、ヒトのメタボリックシンドロームの諸症状に類似した疾患モデルマウスであることから、生活習慣病に関するさまざまな学術研究に用いられている。
〔注③〕 HDLコレステロール
いわゆる善玉コレステロールを指す。HDLは各部位で余ったコレステロールを、唯一のコレステロール代謝器官である肝臓に運ぶ働きを持つ。逆にLDLは、肝臓から各部位にコレステロールを運ぶ働きを持ち、過剰なLDLコレステロールの増加は、動脈硬化の原因になるとされている。