2011年11月10日、都内で「皮膚の日」プレスセミナーが開催された。「いいひふ」の語呂合わせから平成元年に記念日として制定された11月12日を前に啓発イベントの一環で行われた。
テーマは「~皮膚に関するアンケート調査結果と、皮膚炎を起こす秋冬期の花粉対策~」。日本臨床皮膚科医会常任理事で浅井皮膚科クリニック院長の浅井俊弥氏が講演した。
浅井氏はまず、2011年10月14日から17日に調査した男女3272人のアンケート結果を公開。それによると多くの人が、ストレスを抱え、特に女性ではその結果、ニキビ増加やアトピー悪化など、肌に悪い変化が現れたと回答した。さらにそれに対する対処をした人は全体でも半数を超える程度にとどまっていた。
アレルギーに関するアンケートでは、あると答えた人が特に女性で多く、47.6%だった。そのうち食品アレルギーは全体で19.8%だった。食品以外では、花粉が62%、ほこり13.6%、金属4.6%で以下動物、紫外線、市販飲み薬、シックハウス症候群、合成洗剤、化粧品、ゴムなどが続いた。
症状については、鼻水、鼻づまり、頭痛、失神、皮膚の腫れ、蕁麻疹、発熱などと続いた。最も重いアレルギーに対しては全体で74.4%が何かしらの対策をしていた。
こうした結果を踏まえつつ、浅井氏は、秋のスギ花粉について解説。春シーズンだけでなく、11月にもスギ花粉が飛散するとし、その3つのパターンとして(1)1月から4月に開花して花粉を放出したあとに落下する(2)晩秋から冬季にかけ、わずかに花粉を持った雄花が開花せず緑色のまま落下する(3)古くなった暗褐色のものが落下する、があることを明かした。
11月は、このスギ花粉により、瞼にアレルギー反応が出る眼瞼炎が増加するとし、その対策としてタクロリムス軟膏が有効であると説明した。眼瞼炎は、圧倒的に女性が多く、その理由として浅井氏は、まぶたの化粧や化粧落としの関連が想定されると分析した。
来年の花粉飛散予測は例年並みかやや多いとされている。ただし、今年は夏から秋にかけ都心でもスギ花粉が観測されたため、来春は飛散開始前から症状が出る患者が増加する可能性が高いという。症状をできるだけ軽くするための「初期療法」についても解説した浅井氏は、そのタイミングとして「花粉飛散開始の約2週間前」とした。