(株)タニタ(東京都板橋区、谷田千里社長)が、レストラン事業に進出する。カジュアルダイニングを展開する(株)ちきり(大阪府大阪市、平川昌紀社長)と業務提携した。店舗は、2012年1月に「丸の内タニタ食堂」として東京・丸の内にオープンする。
シリーズ累計で420万部を突破したベストセラーレシピ本「タニタの社員食堂」が、ついに一般向けの食堂として誕生する。「本が出てから社員食堂へ行けば食べれるのか、とのお声をたくさんいただいていた。そうした中、単にブームに乗るのではなく、弊社としてできることをじっくりと議論し、医療費削減に微力ながら貢献もできるのでは、と考え日本経済の中心でもある丸の内への出店を決めた」と同社谷田社長は説明する。
レシピ本のヒットに便乗した新事業でないことを明確にする同社は、レストラン事業を「チャレンジ」と位置づける。その象徴のひとつとして、1日2メニューのみというラインナップを採用。同社ニュートリションフードサービス事業部部長の南修二氏は「いろいろなメニューを選べるのが必ずしもいいというわけじゃない。あえて2食でバランスの取れた食事を提供する」と健康的な食事を提供する場として、従来のレストラン事業の概念と一線を画していることを強調した。
同食堂で提供されるのは、レシピ本に掲載されているメニューから「日替わり定食」(800円=税込み)、丸の内タニタ食堂オリジナルの「週替わり定食」(900円=税込み)の2種類。いずれもエネルギー500キロカロリー前後で塩分を控えめにし、野菜をたっぷり使うなどヘルシーながらもおいしいメニューとして知られる。
同食堂では、ヘルシーメニューの提供に留まらず、健康ステーション的なサービスも実施する。業務用体組成計を備えたカウンセリングルームを一角に設け、常駐する管理栄養士がアドバイスを無料で行うのがそのひとつ。健康意識の高い来店者を側面からもサポートする。また、店内では独自のヒーリング音楽をBGMとして流し、癒し空間としての機能も施す。さらに、店内レイアウトはフレキシブルに変更できる仕様とし、様々なイベントを催すなどで、情報発信の場としても活用していく。
将来的には、チェーン展開も視野に入れ、フランチャイズ化も計画する。また、レシピ本メニューからのお弁当の販売も予定しており、同社では今後、同食堂を軸に「食」の面での健康サポート事業も強化していく。当面の売り上げ目標は、一ヶ月600万円。
店舗は、延べ床面積173㎡で座席は70席。情報発信ツールとしてデジタルサイネージやプロジェクターなどが設置される。営業時間は午前11時から午後3時(土日祝は休業)。