一般財団法人 医療経済研究・社会保険福祉協会(東京都港区)は2011年12月7日、健康食品素材の科学的実証データベース「Health Food Material Scientific Database=HFS」のサイト(http://www.hfs-data.jp)をオープンすることを発表した。12月19日よりプレオープンし、半年ごとに情報を追加。2013年9月をメドにフルオープンを目指す。
同サイトは、市場に流通するいわゆる健康食品素材の中から約300品目を選び、それらの有効性・安全性に関し、科学的エビデンスのあるものを中心に網羅したデータベース。原典や論文抄録と紐付けするなどで、他の健康食品系データベースと一線を画し、もう一歩踏み込んだ情報掲載を実現している。
「現状、健康食品の情報源としては国立健康・栄養研究所の『健康食品の安全性・有効性情報』が最も信頼性があり、情報量も多いが、その立場上概して慎重な記述となっている。その他にもあるがやはり閲覧者を十分に満足させるものとは思われない。そこで、一般消費者から医師や健康食品関連企業従事者までが容易にアクセスできる信頼にたるサイトが必要と考え、本データベースの作成にとりかかった」と同協会常務理事の斎場仁氏は作成の背景を説明する。
サイトは、有効性・安全性(医薬品成分の場合医薬品情報含む)について内外の科学的根拠のある研究論文や公的健康表示・報告書を総合的に調査した結果を踏まえ、素材ごと10項目にまとめた「総合評価データ」ページ、公的健康表示・報告書要約(トクホ・EFSA・FDA)ページ、論文抄録(有効性・安全性)ページ、医薬品情報ページ、論文抄録(医薬品関連)ページから構成される。
執筆・監修者には、執筆委員として名古屋文理大学健康生活学部教授・清水俊雄氏、東海大学医学部教授で健康院理事長の久保明氏ら、監修委員には、東京大学名誉教授の上野川修一氏、大妻女子大学名誉教授で元食品安全委員会新開発食品専門調査会座長の池上幸江氏ら、この分野に関連する第一人者が名を連ねる。
執筆委員の清水氏は「欧米で健康食品に関する科学的評価がここへきてたくさん出てきている中で、国内の健康表示における科学的根拠はあるにはあるが不十分」と話し、久保氏は「日本ではサプリメントに関するなんらかのニュースがあっても原典にたどりつけないのが現状」と健康食品を取り巻く日本の状況を憂いながら、同データベースの必要性と意義を訴えた。
従来のデータベースの物足りなさを踏まえ作成された同データベースでは、例えば有効性について明確に記述している素材もある。その基準について、清水氏は「RCTなどで再現性をもって実証されていることは重視している」と説明した。逆に十分な科学的エビデンスのない素材については、その旨を明記している。
公開スケジュールは、プレオープンとなる12月19日公開分で、ビタミン・ビタミン様物質、ミネラル44件、2011年~2012年度分ではタンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂肪酸、炭水化物、食物繊維約80件、2012年~2013年度で、植物・動物由来、微生物、キノコ約150件となっている。新たに情報が公表された場合は、半年をメドに、情報の追加・書き換えを行う。
サイトは会員制とし、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、サプリメントアドバイザー、栄養情報担当者、健康食品管理士、食品保健指導士を「特定会員」、団体等で5名以上同時申込みの場合を「法人会員」、その他を「一般会員」とする。サイト閲覧は有料で料金はそれぞれ、年間1,000円、1,500円、1,800円。総合評価ページは、誰でも無料で閲覧できる。なお、サイトがフルオープンするまでは、会員登録により、全てのページが無料で閲覧できる。