オルニチン研究会(広報事務局:東京都渋谷区)は2012年2月8日、都内で「疲労とオルニチンに関する新たな可能性」のテーマで、第三回マスコミセミナーを開催した。
肝機能改善、疲労回復、ストレス軽減など、さまざまな健康効果が報告されているオルニチン。この日は、新たな可能性として「オルニチンの疲れ肌改善効果」の実験結果が報告された。
講演したのは、東京シナジークリニック院長で同志社大学大学院生命医科学研究科アンチエイジングリサーチセンター研究員の森田祐二氏。試験は、25歳から60歳の女性で「疲れ気味」かつ「同年代と比べ肌質が悪い」と回答した人39人を対象にオルニチン1日400mg摂取群とプラセボ群による二重盲検並行群間比較で実施。8週間の摂取期間後、アンケートによる主観評価と機器による客観評価で判定した。
その結果、オルニチン摂取群では肌の調子が有意に改善され、「肌全体がくすんできた」「あごがたるんできた」「肌がざらつく」などの肌質に関するアンケート全16項目で改善することが確認された。肌のはりと隠れジミに関しては、機器による客観的な指標でも有意な改善が確認された。また、疲労が早期に改善される傾向も確認された。
森田氏は、この結果について「オルニチンを摂取すると肝機能が整えられることによりエネルギー供給がアップするとともに、プロリンの供給力も上がり肌質のアップにつながると推定される」と解説した。
セミナーではさらに大阪市立大学大学院医学研究科肝胆膵病態内科学教授の河田則文氏が「オルニチンのNASH(非アルコール性脂肪肝炎)抑制効果」と題し、講演。NASHは患者数100万人、その予備軍に至っては1000万人ともいわれ、国民病になりかねない状況で、その予防の重要性が指摘されている。
河田氏は、その予防法について、薬物療法、減量を挙げたものの、まだ十分にテストがなされていないことを指摘した。そうした中、同氏はウサギNASHモデルを用いたオルニチンによる脂肪性肝炎の予防効果を検討した試験の結果を報告した。実験では、オルニチン投与により、血糖値には影響することなく、中性脂肪が下がり、それに反比例して有利脂肪酸が増加し、GH受容体量が増加。こうしたことから、オルニチン投与による脂肪分解促進効果が得られ、NASHを含む脂肪肝の進行が抑制する可能性が示唆された。
同研究会では今後、こうした新たな可能性の追求としてオルニチンによるQOLの向上、抗老化などの研究を進め、健康素材としての認知度が着実にあがりつつあるオルニチンのさらなる普及啓蒙を図っていく。