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パロアッスルのアディポカイン分泌調節作用を学会で発表/IHM

(株)インターナショナルホームメディカルは、千葉大学大学院薬学研究院、(株)日本薬品開発との共同研究中の「パロアッスル」によるマウス脂肪細胞でのアディポカイン分泌調整作用を日本薬学会132年会(平成25年3月27~30日開催)にて発表した。

パロアッスルは抗メタボ、抗糖尿病、抗糖化などの作用を有する南米パラグアイのキク科ハーブ。これまでもヒト試験による空腹時血糖値やHbA1c値の減少、血漿アディポネクチン濃度上昇など様々なデータが確認されているが、詳細な作用機序については報告されていなかった。そこで、今回は特にパロアッスルの抗糖尿病作用に注目し、インスリンの主要な標的の一つである脂肪細胞が産生するアディポカインに対するパロアッスルの作用についてマウスの前駆脂肪細胞を用いてその影響を調べた。

研究の結果、パロアッスルを添加したマウス脂肪細胞は、濃度依存的にインスリン感受性因子であるアディポネクチンを有意に増加させた。一方で、インスリン抵抗性惹起因子であるレジスチン(※1)の分泌を有意に抑制、また、通常時には影響を与えないが、レプチン抵抗性の環境を作り、過剰に増加させたレプチン(※2)についてのみ抑制した。パロアッスルから同定されているオレアノール酸、ウルソール酸単体とも比較したが、どちらもパロアッスルによる抑制が上回っていることが確認できた。

 

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さらに、パロアッスル添加により、前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化誘導を促進し、その促進能については、比較対象としてPPARγに特異的に結合するチアゾリジン誘導体である糖尿病治療薬:ピオグリタゾンと同等レベルであることが確認できた。
また、脂肪細胞への分化に関わる遺伝子発現を調節役であるPPARγ(※3)の転写活性も濃度依存的に上昇させた。

 

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内臓脂肪の蓄積は脂肪細胞の肥大とともに、アディポカイン(善玉/悪玉ホルモン)のバランスが崩れることで、糖尿病やメタボリックシンドロームの原因となる。
これらの結果により、成熟脂肪細胞特有の機能因子であるアディポカインの発現を調節して、メタボリックシンドロームに関係が深いインスリン抵抗性を改善する可能性が示唆された。

当原料は2012年に開催された日本薬学会132年会でもポスター発表を実施。今回は、さらに研究を進めた内容を一般口演にて発表し、優秀研究発表賞を受賞した。

※1レジスチン:インスリン抵抗性を惹起する悪玉的因子。骨粗しょう症や心血管疾患にも関連しているとの論文もある

※2レプチン:本来は食欲抑制の働きをもつが、肥満(脂肪組織の蓄積)により過剰に分泌されることで、レプチン抵抗性(視床下部に届かない状態)を起こし、悪玉的要素となる

※3 PPARγ:脂肪細胞を中心に存在し、分化に必要な転写(細胞内情報をコピー)する
たんぱく質。PPAR-γが増加することで、肥大化した脂肪細胞が分化し、アディポネクチン(善玉ホルモン)の産生を促進するとともに抗糖尿病作用をもつ。

2013年04月04日 19:59