(公社)日本通信販売協会(JADMA)は2013年7月19日、都内で「サプリメント部会セミナー」を開催。健康食品新制度などをめぐる最新動向などについて、当事者及び関係者が講演した。
初めに大阪大学大学院教授で規制改革会議委員の森下竜一氏が「健康食品の機能表示解禁」の経緯と今後の見通しについて解説。「いまボールは業界に投げられた。機能表示解禁というボールをどう処理するか。業界皆の努力でその行く末は決まる」と健康食品業界がいま、大きなチャンスを目の前にしていることを力説した。
アベノミクスにより様々な分野で規制改革が進む中、健康食品業界でも安倍首相の口から健康食品の機能表示解禁が明言された。その背景には、適切なセルフメディケーションの実現はもちろん、TPP参加に伴う、世界との競争力強化もある。欧米のサプリメントと同様の機能表示は、世界市場において対等な競争力を持つためにも必要となる。
そもそも、右肩上がりの時代に設定された規制が、成熟期にあるいまの日本にそのままあることは、成長力を妨げるもの以外のなにものでないという側面もある。もちろん、機能性表示については、これまで何度も議論されながら、実現に至っていない歴史を考えれば、クリアすべき課題は山積している。
それでも森下氏は「機能性の表示はサプリメントだけにとどまらない。農作物への展開も考えられ、例えば機能性を表示した米というの出てくるかもしれない。そうしたことも踏まえ今年はサプリメント元年といえるかもしれない」と健康食品業界の展望に期待を寄せた。
続いて、JADMA調査役地主園彰治氏が消費者庁による健食誇大広告の取り締まり強化策となる「食品表示対策室」の新設について解説。これまで、表示対策課と食品表示課で別々に執行活動を実施していたものを、連携を密にした食品表示担当班として一元化し、景表法および健康増進法の特長を活かして対処することで、取り締まりが強化されることなどの見通しを語った。
最後に主婦連の佐野真理子事務局長が、「消費者団体から見た健康食品の表示規制緩和について」と題し、講演。前のめりな健食の機能表示解禁の動きについて、「規制緩和については、実施することで安全性と有効性が従来と同等かそれ以上になる措置を伴うことが前提」とくぎを刺し、これまでに棚上げされている問題も山積していることなどから、現状では団体して許容できない姿勢を示した。