(公)日本通信販売協会(JADMA)は2014年9月25日、機能性表示の来春の解禁へ向け、勉強会を開催した。制度創設までの経緯や規制改革会議での業界のスタンスなどを公開し、今後、事業者がどう向き合うべきなのか、気になる部分をレクチャーした。
業界にとって悲願成就ともいえる機能性表示の解禁。もっとも、規制緩和の一方で、強化される部分も少なくなく、手放しで喜ぶわけにもいかない。特に、機能性表示を行うにあたっての科学的根拠については、最終製品を用いた臨床試験もしくは最終製品または機能性関与成分に関する研究レビューの実施が求められ、そのハードルは決して低くはない。
加えて、不当表示取締等の監視指導態勢も強化される。大きなポイントは、消費者庁長官の権限の一部を都道府県知事に付与することだ。これにより、指示レベルでしかなかった都道府県知事が「合理的根拠の提出要求」や「措置命令」の権限を持ち、きめ細かなチェック態勢が敷かれることになる。
措置命令に対する課徴金も導入が検討されている。これにより、悪質業者の「やり得をなくし」、「不当表示の抑止力」とするのが狙いだ。課徴金は消費者被害の回復促進にあてられる。
こうした流れに対し、業者は対応を迫られるが、現状ではガイドラインの公表が12月とみられ、「来春から導入するのはタイト」との声が大勢を占める。全てはガイドライン待ちだが、事業者側は喜びもつかの間、現状は混乱状態にあるのが実情だ。
それでも、サプリ先進国アメリカが、機能性表示解禁で市場が倍増した事例もあり、「日本でも2倍程度になる」と2兆円越えを予測する声も上がる。「表示が解禁されることで、売り方も変わってくる。店舗での販売が増えて来るのでは」と店頭でのポップなどを有効に活用できることなどから、リアルでの展開拡大を予測する向きもある。
一方で、「同じような機能性表示が並ぶことになり、差別化が難しくなる」との懸念もある。来年の春は業界にとって、歴史的なシーズンの開幕となるが、しばらくはその恩恵よりも混沌の中でもがきながら、最善の形を模索していくことになりそうだ。