森永乳業は、中高年男女2万人の健康状態に関する全国調査の結果を公開した。同社が宅配で販売するビフィズス菌配合カルシウム強化ミルクを摂取する人への効果検証として、興味深い結果が出た。
調査は、アンケート方式で行われ、当該飲料摂取、または非摂取の50代から80代の男女を対象とした。配布数量9万2,110部に対し、2万3,188人からの有効回答が集まった。
解析方法は、摂取群を3年以上週4回以上摂取している人(7156人:男性2.194人、女性4.962人)、非摂取群を全く摂取経験のない人(5025人:男性1.700人、女性3.325人)とし、性別ごとに年齢を層別因子としてMantel-Haenszel検定で群間比較し、調整オッズ比の推定値、およびp値を算出した。
その結果、摂取群において、さまざま効能が裏付けられるデータが得られた。まず、摂取期間・頻度については、男女とも年代が上がるのに比例して増加していた。これは、効果の有無はともかく、続けるほどに習慣として定着する傾向にあることなどが考えれる。
疾病への効果については、男女では、便秘及び便秘傾向、物忘れ、男性では、大腸ポリープ、胆石など罹患歴の低さ、女性では腎臓病、疲労感などにおいて、感じる人が少ない結果となった。この辺りは、当該飲料の摂取による効果と考えるのは早計だが、これだけの規模の調査で、こうした傾向がつかめたことには意義があるといえる。
東京医療保健大学の下田妙子教授は、中高年が健康寿命を延ばす上で食生活の重要性を説き、今回の調査結果踏まえ「当該飲料の継続的摂取は高齢者の健康およびQOL向上に有効である」と話した。
松生クリニック院長の松生恒夫氏は、「腸のアンチエイジングに最も重要なのは食事」とし、加齢により不足しがちなカルシウム等の効率的摂取をサポートする当該飲料が有効であると語った。
いわゆる健康食品の摂取による健康効果の調査は少なくないが、これだけの規模と期間での調査は珍しく、参考データとして非常に貴重であり、さらなる解析、追調査が期待される。なお、同調査の結果は、日本農芸化学会2015年度大会(3月26日~29日:岡山)で発表の予定。