(株)IHM(東京都品川区)は千葉大学大学院薬学研究院、日本薬品開発(株)との共同研究中である南米パラグアイ産の機能性食品(ハーブ)「パロアッスル」について、第36回日本肥満学会(平成27年10月2日~3日 名古屋国際会議場)にて肥満状態に誘導させたマウスにおける脂質代謝への影響を発表した。
パロアッスルは、これまでに複数のクリニック等によるヒト試験による評価後に改めて実施した千葉大学大学院薬学研究院との共同研究による細胞試験を経て、健康長寿ホルモンともよばれるアディポネクチンの分泌量増加などの有意な結果を得ている。
今回は、さらにマウス生体内において、パロアッスルの影響及び、すでに実施してきた細胞試験結果の再現性の有無を評価するため、高脂肪食を与えて肥満状態にしたマウス本体に対して、パロアッスル非投与群、低用量投与群、高用量投与群の3郡に分けて14週間飼育後にそれぞれを解剖、解析して評価を行った。その結果、内臓脂肪において、パロアッスルのメカニズムに大きく関与する脂肪代謝を促すたんぱく質「PPARγ」のmRNA発現、及びアディポネクチンのmRNA発現量を増加させる傾向が確認された。
また、パロアッスル低用量群では血糖値の降下及び皮下脂肪内でもアディポネクチンのmRNA発現を上昇させる傾向を示し、高用量群では体重減少および皮下脂肪重量の減少傾向を示した。これにより、すでに確認されてきたヒト試験によるアディポネクチン発現や血糖値降下、体重減少等についての関連付けができたと考えられる。
さらに、同社は10月に開催された「食品開発展2015(平成27年10月7日~9日 ビッグサイト)」においても、昨年3月まで共同研究者であった千葉大学名誉教授の上野光一氏によるプレゼンセミナーを実施した。上野氏はこれまでの研究成果とともに、同年8月に申請した発明特許内容であるパロアッスルの脂肪代謝への新たなメカニズムについても紹介している。
<パロアッスルとは>
パロアッスルは、ハーブの宝庫ともよばれる南米パラグアイ共和国にて、古くから現地住民から糖尿病等の改善で利用されていた。日本では1999年に輸入されて以降、健康補助食品として健康茶、サプリメントとして利用されており、90日間反復投与毒性試験等の各種安全性試験も実施し、高い安全性が確認されている。ヒト試験による確認事項としては、基礎代謝量や骨格筋量の上昇、アディポネクチンの分泌量増加、内臓脂肪の減少、血糖値・血中脂質のコントロールといった生活習慣病に対する予防作用が挙げられる。
<考えられるメカニズム>
パロアッスルを利用することで、体内で脂肪代謝を促すたんぱく質PPARγが増加し、過剰な脂肪細胞を分裂させて正常な大きさにする。同時にアディポネクチンを増やしつつ、レプチンやレジスチンといった悪玉要素のホルモン産生は抑制し、結果として脂肪の質を整える(2013.7 米国学術誌Nutrition Research収載)。
また、PPARγが増加することで、熱産生たんぱく質UCP-1の増加、活性化が確認できた(2015.3 日本薬理学会発表。同年8月 発明特許申請)。UCP-1は代謝のカギとも言われるミトコンドリア内に存在するため、内臓脂肪の減少だけでなく、肥満・生活習慣病の予防や、すみやかな疲労回復や健康的な肌づくりなどQOL向上につながるミトコンドリアそのものの活性も期待できると考えられる。さらに、ヒト試験で確認できている骨格筋増加への関与としても、筋芽細胞での評価にて、パロアッスルが成長因子に働きかけることで筋肉細胞の分裂・集合化を促すことが確認されている。