株式会社IHM(東京都品川区)が取り扱う乳酸菌原料「植物性ナノ型乳酸菌SNK®(以下、SNK)」に関する論文(和訳:Lactobacillus plantarum SNK株投与によるストレスフリーおよび軽度社会的敗北ストレス負荷マウスの海馬の神経栄養因子およびGABA受容体のmRNAレベルに及ぼす効果の予備調査)が2019年 9月15日にBioscience, Biotechnology, and Biochemistry(日本農芸化学会の英文学術誌)オンライン版に収載された。
本内容は、ストレスフリーのマウスと社会的敗北ストレス負荷マウスを対象にSNKを投与した時の脳海馬の神経栄養因子およびGABA受容体への影響を評価したもの。
ストレスフリーマウスを対象としたものは、SNK投与による学習効果を評価する目的で、SNK無投与(対照)、SNK投与群の2群に分けたマウスを飼育した。SNK給与開始後21日目と22日目に学習評価試験を実施した。23日目に剖検し、脳海馬の神経栄養因子およびGABA受容体のmRNA発現の解析を行った。
その結果、SNK無投与対照群と比較してSNK投与群は、脳海馬の神経栄養因子BDNFとNT-3および GABA A 受容体のmRNA発現量が有意に高くなった。
ストレス負荷マウスを対象としたものは、SNK投与による抗うつ効果を評価する目的で、SNK無投与、SNK投与に分けて40日間飼育した。定期的な体重測定とともに、それぞれを飼育21日目から10日間、慢性社会的敗北ストレス負荷によるストレス状態にした後、さらに複数の負荷試験を実施した。40日目に剖検し、海馬の神経栄養因子およびGABA受容体のmRNAの発現解析を行った。
その結果、SNKを投与したストレス負荷マウスの脳海馬の脳神経栄養因子BDNFのmRNA発現量が、無投与マウスに対し2.5倍高かった。さらに、SNKを投与したストレス負荷マウスは無投与と比較してもGABA A受容体のmRNA発現レベルが高くなる傾向が見られた。体重変化については、SNKの投与により無投与マウスよりも体重減少を抑制する傾向が認められた。
脳由来の神経栄養因子であるBDNFは、神経系の分化や発達とともに、認知・学習記憶に関与している。また、脳海馬のBDNF減少が気分障害の発症にも関連しており、うつ状態ではBDNFレベルが低下することが確認されている。
今回の検証試験で、SNKの投与によりストレスを負荷したマウスの脳海馬のBDNFが上昇することが確認されたことから、SNKは免疫調整とともに、継続摂取による学習能向上及びストレス耐性の向上の可能性が期待できる乳酸菌原料としてさらに幅広い対象者へ訴求を行っていく。
< 植物性ナノ型乳酸菌SNK®とは >
長野県木曽地方の伝統食“すんき漬け(赤カブ菜を使用した無塩漬物)”由来の乳酸菌(Lactobacillus plantarum)を特許製法により加熱乳酸菌体製造時の菌体の凝集を分散化し、乳酸菌の体内吸収率を高めた加熱乳酸菌原料。すんき漬けの有効性は大学機関でもさかんに研究されており、その一つとして「すんき漬け」を食している木曽地方住民のアレルギー罹患率は、長野県全域住民と比較して三分の一程度であったとの報告がある(疫学予備調査より)。
※ナノ型乳酸菌は(有)バイオ研の商標登録である。また、姉妹製品として、ヒト腸内細菌(Enterococcus faecalis)由来のナノ型乳酸菌nEF®を取り扱っている。