天然食品原料メーカーの一丸ファルコス株式会社は、2024年10月23日より脳機能に向けた新食品原料「ARACA(アラカ)」の発売を開始する。この新素材は、特に脳機能改善に焦点を当てた食品用の原料で、高齢者のみならず、現役世代にとっても有益な成分として注目される。
ARACAの開発は、インドやスリランカの伝統医学であるアーユルヴェーダの知識に基づいて行われた。ツボクサ(学名:Centella asiatica)は、古代インドにおいて記憶力向上や治療を助けるためのハーブとして長年使用されており、岐阜薬科大学との共同研究により、ツボクサの脳機能向上効果に注目、その有効成分である「アラリアジオール」を特定することに成功。この研究結果は、2022年に「Journal of Pharmacological Sciences」で発表されている。
高齢者の増加と共に、加齢により発症するアルツハイマー病に代表される神経変性疾患の患者数は年々増加している。神経変性疾患とは脳や脊髄の神経細胞が障害・脱落され、運動や記憶などの機能が低下する状態を含み、その発症機構が明確でないため根治療法が存在しないことが問題となっている。
神経変性疾患の病変には酸化ストレスおよび小胞体ストレスなどが関与すると報告されている。酸化ストレスは、様々な刺激により脳内で活性酸素が産生されることにより脳神経細胞が死滅。小胞体は細胞内でタンパク質の合成や品質管理を担っているが、細胞がストレスなどにさらされると不良タンパク質の蓄積などにより細胞障害やアポトーシス(細胞死)が引き起こされる。これを小胞体ストレスといわれ、酸化ストレスや小胞体ストレスによる脳神経細胞死は認知機能の低下へとつながる。
■小胞体ストレスによる神経細胞死抑制
岐阜薬科大学との共同研究により、ツボクサ抽出物がストレス条件下における脳神経細胞保護作用を確認し、有効成分がアラリアジオールであることをを特定。ツボクサ抽出物およびアラリアジオールには、神経細胞への酸化ストレス抑制や小胞体ストレス抑制、これらのストレスによる細胞死を抑制する効果(図1:小胞体ストレスによる神経細胞死抑制)が確認されている。また、マウスにアラリアジオールあるいはARACAをあらかじめ投与することで、記憶障害の進行を抑制する効果があることを確認している。
図1 小胞体ストレスによる神経細胞死抑制
健康な被験者29名によるモニター試験においてARACA 100mg/日を6週間摂取したところ、計算問題の正解数、タイピングの正タイプ数の増加が認められた(図2:正タイプ数)。さらに脳負荷テスト後の疲労感が軽減さた(図3:脳負荷での疲労感)。
図2 「ARACA」摂取による正タイプ数の変化
図3 「ARACA」摂取による脳負荷での疲労感の変化
■今後の市場展開と期待される役割
アルツハイマー病などの神経変性疾患に対する関心が注目され、認知機能を維持するための食品やサプリメントが求められる中で、 ARACAはその解決策の一つである。これまで培った技術と研究を基に、ARACAの子どもの脳の健康をサポートし、世代を超えた広い層に向けた新たなソリューションを提供。認知機能の改善に効果があるという研究成果を踏まえ、国内での市場展開が期待される。
<ツボクサ>
ツボクサ(学名:Centella asiatica (L.) Urban 別名:ゴツコラ)はアーユルヴェーダで最も重要なハーブのひとつです。古代インドでは治療と瞑想へ導く薬として用いられてきました。インドや東南アジアでは葉をサラダやスープ、カレーに入れて食べられている。
<アラリアジオール構造式>
「ARACA」は有効成分アラリアジオールとトリテルペン類を含有するツボクサ抽出物です。特許製法(特許第7160299 号)によりアラリアジオールを安定化に含有するツボクサ抽出物の製造が可能
■「ARACA」 製品概要
製品名:ARACA(読み:アラカ)
表示例:ツボクサ抽出物(ツボクサ抽出物、デキストリン)<食品添加物の位置に>シクロデキストリン、アラビアガム
製品名のARACAはAraliadiol(アラリアジオール)とCentella asiatica(学名)からなる造語