健康食品や化粧品の原料となる天然由来成分を製造する丸善製薬株式会社は、横浜市立大学 医学部 肝胆膵消化器病学教室の小林貴助教、中島淳主任教授らの研究グループとの共同研究で、乳酸菌「Lactiplantibacillus plantarum 22A-3」(以下LP22A3、丸善製薬販売名:スマート乳酸菌)がリーキーガット(腸漏れ)を改善し、腸のバリア機能を維持することを明らかにした。
また同研究成果は、「Scientific Reports」に2025年1月25日にオンライン公開。
※スマート乳酸菌は丸善製薬株式会社の登録商標です。
研究背景
腸管バリアは病原体や有害物質から体を守るための障壁。栄養素の吸収を助けるとともに免疫応答を調節し、健康を維持する。しかしながら高脂肪食、飲酒、ストレス、薬剤等によって、腸の炎症が引き起こされると、腸の細胞間の結合が緩み、リーキーガットと言われる腸漏れの状態となり、腸管バリアが脆弱化する。その結果、病原体や異物が血液中に漏れ出し、健康に悪影響を及ぼすことが指摘されている。
同社が独自に開発した乳酸菌であるLP22A3は、これまでの研究において、抗アレルギー作用や制御性T細胞の分化誘導による腸内の炎症抑制効果が確認されています。本研究ではLP22A3による腸管バリア機能の改善効果について検証を行った。
研究結果
同研究により、LP22A3は腸内の炎症を軽減することで、リーキーガット(腸漏れ)を改善することが明らかになった。この結果は、LP22A3が有害物質や病原菌の侵入を抑制し、全身の炎症も抑制する可能性を示唆している。
今後の展望
同社は、人々の健康維持と健康寿命の延伸を目指し、LP22A3のヒト臨床試験によるリーキーガットの改善や炎症抑制による効果について研究を推進していく。
参照
Kobayashi T, Kessoku T, Iwaki M, Nogami A, Yoneda M, Saito S, Yamana Y, Nishitani Y, Kuwahara H, Nakajima A. Lactiplantibacillus plantarum 22A-3 ameliorates leaky gut in mice through its anti-inflammatory effects. Sci Rep 15, 3264 (2025).
本論文は以下URLより全文がご確認いただけます(英文)。
https://doi.org/10.1038/s41598-025-87428-3