独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
九州大学大学院薬学研究院
分析装置がないため研究が進んでいなかったD型アミノ酸について全種類を
全自動で一斉に定量分析する技術を開発し創薬や疾病診断への道を拓く
【新規発表事項】
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として、九州大学の准教授、浜瀬 健司氏は、全てのアミノ酸の光学異性体(D型・L型)について、全自動で一斉分析を行う技術を開発しました。
この技術は、タンパク質に含まれる全アミノ酸20種に数種のアミノ酸を加えた24種類に対してDL体を区別した全自動二次元分析を可能としており、分析装置がないため研究が進んでいなかったD-アミノ酸研究を進展させていく上で重要な技術です。
従来技術であるジアステレオマー法、キラル固定相法などでは不可能だった哺乳類体内の微量D型アミノ酸を一斉に分析することが可能になり、アミノ酸光学分割カラム(クロマトグラフィーに用いる物質を分離する媒体)をミクロ化することにも成功したため、溶媒使用量を従来の10分の1に減らしました。
この分析装置により、アミノ酸・タンパク質の研究が飛躍的に進み、新規生理活性物質の発見や病気の診断マーカー創出等への展開が期待されるものとして注目されています。
1.研究成果概要
アミノ酸には、互いに光学異性体(注1)となるD型(D体)とL型(L体)が存在しますが、ヒトを含む哺乳類の体内にあるアミノ酸は全てL型であると長い間考えられてきました。しかし近年、哺乳類の体内から数種のD型アミノ酸が発見され、脳やホルモン分泌組織などでD型が重要な役割を担っていることが明らかにされ始めています。しかし、全アミノ酸のD型・L型を区別して定量できる高感度な分析法がなかったため、生体内のD型アミノ酸の研究は停滞しています。この分野の研究が進めば、D型アミノ酸が未知の生理活性物質として働いていることや、疾患のマーカーとして利用できることが明らかになると期待されます。その結果、病気の診断・予防への応用や医薬品・機能性食品等の開発を通して、医療や人々の健康維持に大きく貢献できると考えています。
こうした背景から、D型アミノ酸の一斉分析技術を開発する研究を進め、その技術を確立しました。現在、連携企業とともに装置の実用化と市販に向けた研究を行っています。
(注1)光学異性体:原子の数・種類だけでなく結合順も同じだが、鏡像関係にあって重なりあわない立体的構造をもつ分子。
2.競合技術への強み
1)全アミノ酸を二次元で一斉に分析:生体内の微量D-アミノ酸分析には二次元法が不可欠です。従来の二次元分析法では、単一のアミノ酸をD型とL型に分けることはできましたが、全アミノ酸を一斉に二次元分析する装置はこれまでにありません。
2)全自動:非常に複雑な、しかも長時間を要する分析のプロセスを、人手を使わずに行うことができます。
3)省資源・低環境負荷:分析装置をミクロ化した結果、溶媒の量を大幅に低減、省資源だけでなく廃液による環境負荷も減らしました。
4)医療への貢献:D型アミノ酸による新しい診断法や予防法の開発の可能性を拡げ、創薬や機能性食品の開発も期待されます。
5)市販・実用化へ:連携企業と一斉分析装置の市販に向けた実用化研究を推進中です。
3.今後の展望
現在は分析装置の実用化・市販に向けた研究を、連携企業の資生堂とともに推進しています。これと並行して、全D型アミノ酸を対象として疾病や生理状態の変化に伴うマーカー分子の探索・発見と、新規診断法構築への研究を展開していきます。さらに、哺乳類体内における機能性D型アミノ酸の探索・発見と創薬・機能性食品の開発などへの展開も行っていきます。
今後、本装置は高いミクロHPLC実用化技術を持つ資生堂との共同開発を進めていきます。現在、NEDO次世代戦略技術実用化開発助成事業で実用試作装置を共同開発中であり、これらの試作装置を用いる実試料、臨床試料などの測定を通した市場テストを検討中です。
微量D-アミノ酸の一斉分析技術を開発
-
「旅する未来フード クリッピー」を発売開始~国産コオロギの粉末配合スナック~/KNT-CTホールディングス
KNT-CTホールディングス株式会社は、旅を通じた社会課題の解決をはかり SDGs の達成に貢献できるよう取り組むと同時に、これまでの旅行サービスを中心とした非日常に加え、日常生活を含めた様々なシーン……
2022年07月06日 18:14 -
じゃがいもの皮から抽出した「ポテトセラミド」の肌への有効性を確認/カルビー
カルビー株式会社は、じゃがいもの皮から抽出した「ポテトセラミド」が、皮膚バリア機能の改善作用など、肌への有効性をもつことを確認しました。 皮膚は、外部からの有害な環境物質や微生物の侵入を防ぎ、体……
2022年07月06日 17:28 -
紫外線、酸化ストレスから守る「ポルフィリディウムエキス(微細藻類由来)」を使用した製品サンプル提供を開始/パナック
微細藻類を培養して有効成分を抽出・精製し、化粧品原料として活用するパナック株式会社は「ポルフィリディウムエキス(微細藻類由来)」を配合したハンドクリームとハンドジェルの「サンプル提供」を開始。 ……
2022年07月05日 11:17 -
機能性表示取得の「機能性もち麦ごはん」を発売/はくばく
穀物のリーディングカンパニー株式会社はくばくは、2022 年 7 月 1 日(金)より、「腸内環境を改善する」、コレステロールが気になる方の「LDL-コレステロールを下げる」、機能性表示を取得した『機……
2022年07月05日 11:02 -
大阪公立大学と共同研究部門『薬物生理動態共同研究部門』を開設~毛髪・頭皮・皮膚の基礎基盤研究強化を目指す~/ミルボン
株式会社ミルボンと大阪公立大学は2022年7月1日、大阪公立大学大学院医学研究科に共同研究部門(部門名:薬物生理動態共同研究部門)を開設しました。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ……
2022年07月04日 19:07 -
中国化粧品監督管理条例への対応を加速、登録原料350を越える/一丸ファルコス
一丸ファルコス株式会社は、国内化粧品メーカーやサプライヤーが2021年に中国で施行された「化粧品監督管理条例」への対応を急ぐなか、新管理規定に基づく同社の登録原料が350を越えたことを発表しました。 ……
2022年07月04日 12:21 -
「プロテインも入った青汁」を発売/小林製薬
小林製薬株式会社は、食事の量が減りたんぱく質不足を感じている方に向けて、野菜の栄養とたんぱく質を同時に補うことができる粉末タイプの青汁「プロテインも入った青汁」を、7月1日(金)から同社の通信販売で新……
2022年07月01日 19:40 -
「手羽先サミット 2022」に協賛、イベントを通じ飲食店や地域へこめ油をPR/オリザ油化
オリザ油化株式会社は 2022年 6 月 3 日~5 日に愛知県名古屋市で開催された「第 8 回手羽先サミット®`22」にて、WEB 広告協賛を実施し、地元の食イベントの盛り上げに貢献した。オリザ油化……
2022年07月01日 19:25 -
ビールの原料「ホップ」の腋芽形成を促進する世界初のアプローチで、ホップの大量増殖技術の開発に成功/キリンホールディングス
キリンホールディングス株式会社のキリン中央研究所は、独自の「植物大量増殖技術」を活用し、ホップの腋芽形成を促す世界初のアプローチで、ホップの苗を50倍以上に大量増殖させることに成功しました。また、植物……
2022年06月30日 18:24 -
「免疫賦活化作用を有する乳酸菌」特許取得のお知らせ/ぐるなび、東京工業大学
株式会社ぐるなびは、東京工業大学と「ぐるなび食の価値創成共同研究」として、日本の食文化を支える発酵をテーマとした共同研究を2016年に開始。この度、2022年5月20日に「免疫賦活化作用を有する乳酸菌……
2022年06月29日 18:27