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貧血改善に効果的な鉄分摂取方法を発見

株式会社ファンケル(本社:横浜市中区、代表取締役社長執行役員:成松義文)は、ミネラルの吸収を高める成分「ツイントース*1」と、ミネラルの一種である「鉄分」の併用効果に着目し、お茶の水女子大学 山本茂教授、ベトナム国立栄養研究所 Hien博士らのグループとの共同研究で、ヒト臨床試験を行いました。

試験では、両成分の同時摂取における体内鉄保有量*2の改善効果と貧血改善効果について検証しました。 

その結果、ツイントースと鉄剤の同時摂取が、鉄欠乏性貧血*3の改善に効果的であることが確認されました。この研究成果は、2010年6月21日発行の栄養学雑誌「Journal of Nutritional Science and Vitaminology 56巻3号」で論文発表しましたので、ご報告いたします。 

以下に研究の概要および結果をお知らせいたします。 

【研究の概要】 

<研究の経緯>

ミネラルは体内に吸収されにくく、飽食の日本においても不足しがちな栄養素のひとつであるといわれています。ミネラルの一種である鉄分は、免疫力を高める、酸素を運ぶ、低血圧を改善するといった重要な役割を担っています。しかし、食品から鉄分を摂取しても、実際に吸収されるのは10%以下といわれており、吸収を高める効率的な摂取の仕方が重要になります。 

これまで、ファンケル総合研究所では大学との共同研究を通じて、ツイントースが鉄やカルシウムなどのミネラルの吸収を促進することを明らかにしてまいりましたが、鉄欠乏性貧血への影響については検証しておりませんでした。そこで、今回の研究では、ヒト臨床試験を実施し、ツイントースと鉄剤の同時摂取による、体内鉄保有量の改善と貧血改善効果について検証いたしました。

<研究の方法>

今回の研究では、健康診断を実施した 1,759名の成人女性の中で、一般的な健康診断の基準(ヘモグロビン濃度 120g/L未満)で貧血と診断された 168名を対象としました。試験では、ピロリン酸鉄*4を鉄源とした経口鉄剤(鉄として 15mg/日)を使用しました。プラセボ*5群、鉄剤摂取群、ツイントース配合鉄剤摂取群の3群を設定し、6ヶ月間毎日摂取していただき、体内鉄保有量と貧血の発生率などを評価いたしました。 

<研究の結果>

(A) 体内鉄保有量への影響

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プラセボ群の体内鉄保有量は試験開始前と比較して減少しましたが、鉄剤摂取群では、体内鉄保有量が試験開始前と比較して体重 1kgあたり 2.5mg増加しました。ツイントース配合鉄剤を摂取した群では、鉄剤摂取群よりも更に 2.5mg増加し、試験開始前と比較して5.0mg増加しました。この結果から、ツイントースが鉄の吸収を促進し、体内鉄保有量を増加させたと考えられます(図1)。 

(B)貧血改善率への影響

さらに、実際に貧血者がどのくらい減少したのかを検証いたしました。プラセボ群の貧血者数は試験開始前とほとんど変化しませんでしたが、鉄剤摂取群では 61%の人が改善しました。一方、ツイントース配合鉄剤を摂取した群では、81%の人が改善し、ツイントースを配合することで、鉄剤のみを摂取するよりも、更に20%も貧血者が減少しました。この結果から、ツイントースと鉄剤の同時摂取は貧血改善効果に、より優れていると考えられます(図2)。 

<考察>

ツイントースと鉄剤を同時に摂取することで、鉄剤のみを摂取するよりも効率的に体内鉄保有量を増加させ、貧血を改善することが示唆されました。また、頭痛、倦怠感、めまいといった貧血症状を効率よく改善できると考えられます。 

<研究発表と今後の展開>

この研究成果は、2010年 6月 21日発行の栄養学雑誌「Journal of Nutritional Science andVitaminology 56巻 3号」にて論文発表いたしました。当社では、今後もお客様の健康維持に貢献できるよう、ツイントースとミネラルの吸収における関係性を研究してまいります。 

(研究者のコメント) 

鉄欠乏性の貧血者は世界に約 20億人いるといわれ、貧血症の約50%は鉄が欠乏することに起因していると考えられています。鉄欠乏は、子供の知能の発育遅延や労働生産力低下につながり、経済的な損失は計り知れないと思われます。開発途上国では栄養不足による鉄欠乏者が多く、先進国が中心となり国際的な援助で問題解決に取り組んでいます。その一方で、実は日本でも女性を中心に鉄が足りていない人が多く、潜在的鉄欠乏者が多くいます。厚生労働省が発表している日本人の国民健康栄養調査の結果では、4人に 1人が貧血者であると報告されています。ツイントースは鉄の吸収を促進し、鉄剤と一緒に摂取することで、貧血改善に貢献できると考えております。鉄を摂取する際には、是非、一緒にツイントースの摂取をお勧めします。

[Profile]

魚津 伸夫(うおつ のぶを) 農学博士  ㈱ファンケル 総合研究所 健康食品研究所 

新素剤研究グループ 所属。 

2006年 株式会社ファンケル入社。 

以来、健康食品の基礎研究に従事。

【 用語解説 】

*1:ツイントース ®

カルシウムや鉄などのミネラルの吸収を促進するファンケル独自の成分であり、フラクトース(果糖)が 2つ結合した二糖類で、洋野菜チコリの根を原料とした植物由来成分。 

砂糖の半分程度の甘みがあり、食品としてはカラメルなどにわずかに含まれている。 

*2:体内鉄保有量 

人間が体内に保有する鉄分の量のこと。 

今回の研究では、Cookの方法(Cook JD et al., Blood. 2003 101: 3359-64)に従って計算。 

*3:鉄欠乏性貧血 

血液中にあり、全身に酸素を運搬するヘモグロビンの合成に必要な鉄が欠乏することを原因とする貧血で、日常最も多く見られる貧血。 

*4:ピロリン酸鉄 

水に不溶性の鉄であるため、体内への吸収率が医薬品で汎用される硫酸鉄よりも低い。 

しかしながら、胃への刺激が硫酸鉄よりも少なく、食品によく使われている。 

*5:プラセボ 

有効成分が入っておらず、薬理効果のない偽薬のこと。 

実剤(今回の場合、鉄やツイントース)の効果を実証する研究の比較対照として使われる。 

2010年07月12日 21:07

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