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脂肪センサーGPR120が食事性肥満の原因遺伝子であることの発見

辻本豪三 薬学研究科教授、平澤明 同准教授、市村敦彦 同大学院生(現、東北大学大学院医学研究科助教)らは、これまでヒトゲノムデーターベースより、新規の脂肪酸のセンサー分子であるGPR120受容体を発見していました(Nature Medicine 2005)。今回、この分子を欠損するマウスモデルを作出し、GPR120受容体の生理機能を解析するとともに、フランスを中心とする欧州のゲノム解析センターと共同で、この脂肪酸センサー分子の肥満患者に於けるゲノム解析研究を行い、脂肪センサーGPR120が食事性肥満の原因遺伝子であることを見出しました。

現在、肥満および肥満に随伴する様々な代謝異常(脂肪肝、糖尿病など)が世界的に大きな健康上の問題となっています。この世界的な肥満大流行は、特に先進国の食生活がカロリー過剰摂取となりがちな高脂肪食であることに起因しています。また、この食事性肥満には大きく遺伝的要因が関連することが考えられていましたが、今までそのような原因遺伝子は見つかっていませんでした。

具体的には、

遺伝子改変マウスでの肥満、代謝疾患(逆遺伝学研究)
GPR120遺伝子を欠損したマウスは高脂肪食負荷により肥満、糖尿病、脂肪肝の代謝異常を発症しました。さらに、その種々の代謝異常は、GPR120遺伝子を欠損した脂肪組織ではその分化が遅延し、さらに脂肪酸合成の低下をきたすことによることを明らかにしました。
ヒトでの肥満との関連(前向き遺伝学研究)
ヒトのGPR120のアミノ酸配列に1箇所変異が入った変異受容体では、センサー機能に異常が起こることを見出しました。欧州の約2万人の肥満患者の遺伝子解析より、この変異を有する人では、(特に欧州の高脂肪食環境下では)食事性肥満を発症する可能性が高いことを明らかにしました。
以上の研究は、食事性脂肪のセンサーであるGPR120が、食事性の肥満に強く関与することを示しています。今後、肥満や糖尿病に代表される代謝疾患に対して、GPR120を標的とした予防・治療薬への応用の可能性が期待されます。

本研究は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)産学共同シーズイノベーション化事業「育成ステージ」の支援を受けて行われ、本研究成果は、2012年2月19日(英国時間)に、英国科学雑誌「Nature」のオンライン速報版で公開されました。

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/120220_1.htm

2012年02月21日 17:05

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