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植物のリン欠乏ストレスを緩和する新しい糖脂質を発見/独立行政法人理化学研究所

20130228_r01.jpg◇ポイント
・脂質メタボローム解析により、リン欠乏を補う植物糖脂質「グルクロン酸脂質」を発見
・グルクロン酸脂質の生合成に必須な遺伝子「SQD2遺伝子」を発見
・イネにもグルクロン酸脂質を発見、多様な植物でのリン欠乏ストレス緩和機能を示唆

理化学研究所(野依良治理事長)は、リンが不足した環境でも植物の生育を維持する糖脂質「グルクロン酸脂質※1」を発見し、その生合成に必須な「SQD2遺伝子」を同定しました。これは、理研植物科学研究センター(篠崎一雄センター長)メタボローム機能研究グループの斉藤和季グループディレクター、岡咲洋三研究員らの研究グループによる成果です。

肥料の三大要素「窒素・リン酸・カリ」の1つとして挙げられる“リン”は、植物の生育に必須な元素です。植物の生体膜は主にリンを含む脂質(リン脂質)と糖脂質で構成されていますが、植物体内のリンが欠乏すると生体膜中のリン脂質が減少し、それを補うようにスルホ脂質※2などの糖脂質が増加して膜を維持し生育を助けます。こうした膜脂質の再構成は「膜脂質のリモデリング※3」と呼ばれ、リン欠乏環境下で植物が生存するために重要な役割を果たします。しかし、どんな化合物がどう関与しているのかについては不明な点が多く、網羅的な解析技術の開発が待たれていました。

研究グループは、独自開発した網羅的な脂質(脂質メタボローム※4)解析法により、リン欠乏環境下で生育したシロイヌナズナにおける膜脂質のリモデリングを調べました。その結果、一部の微生物でしか報告されておらず、植物では未知だった糖脂質「グルクロン酸脂質」が地上部に蓄積することを発見しました。このグルクロン酸脂質とスルホ脂質の構造が似ていたことから、スルホ脂質の生合成に関連する3つの遺伝子を欠損させた変異体を解析したところ、SQD2という遺伝子を欠損するとグルクロン酸脂質が全く蓄積されず、リン欠乏環境下では通常より早く枯死することを見いだしました。また、グルクロン酸脂質はイネにも含まれ、リン欠乏環境下では約6倍も蓄積量が増加したことから、この脂質は植物に広く存在し、リン欠乏ストレスの緩和に役立つ新規の脂質である可能性を示しました。

肥料の原料として欠かせないリン鉱石※5は近年枯渇が危惧されており、農業分野で大きな問題となっています。グルクロン酸脂質やSQD2遺伝子を有効利用することで、リン欠乏に耐性な植物の作出が期待できます。また、生物学的事象の背景にある代謝を理解する技術として、メタボローム解析が非常に強力であることも示しました。

本研究の一部は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の国際科学技術共同研究推進事業(戦略的国際共同研究プログラム SICORP)などの助成を受けて行われ、成果は英国の科学雑誌『Nature Communications』オンライン版(2月26日付け:日本時間2月27日)に掲載されます。

< 補足説明 >
※1 グルクロン酸脂質
グルクロン酸という糖を部分構造とする酸性の糖脂質。これまで、一部の細菌類や菌類、数種の微細藻類といった植物以外の生物から微量成分として単離された報告があるが、機能や生合成経路は不明である。植物における存在と機能、生合成経路が明らかとなったのは今回が初めて。
※2 スルホ脂質
スルホキノボースという硫黄を含んだグルコース誘導体を部分構造とする酸性の糖脂質。細胞膜などには通常ほとんど含まれておらず、主に葉緑体の膜に存在する。
※3 脂質膜のリモデリング
細胞や個体を取り巻く環境に変化が生じると、それに対応するために細胞膜の構成が変化する。これが膜脂質のリモデリング(再編成)であり、植物の細胞膜の場合、リン欠乏環境下では相対的にリン脂質が減少し、糖脂質が増加する。
※4 メタボローム
ゲノム(genome)の「-ome」はラテン語で全体や総体という意味を表す。ゲノム(genome)が細胞内の全遺伝子(gene+ome)を指すように、メタボローム(metabolome)は細胞内で合成された全低分子代謝産物(metabolite+ome)の総体を指す。植物における総代謝物質は20万~100万種と考えられている。現状の技術では全ての代謝物質を網羅することは不可能なため、検出可能な全代謝物質という意味で使われている。
※5 リン鉱石
リン酸塩鉱物。一部の国に良質のリン鉱が偏在しており、日本は全量を輸入に頼っている。中国がリン鉱石に高い関税をかけるなど、世界中でリン資源の囲い込みが始まっている。その結果、国際価格が急騰して相場が混乱するなど、戦略物資化している。

【お問合せ】
独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715

[発表者]
植物科学研究センター メタボローム機能研究グループの斉藤和季グループディレクター、岡咲洋三研究員ら 

【お問合せ】
独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715

※リリースの詳細は関連資料をご参照ください

【関連資料】
◎リリースURL/PDF(独立行政法人理化学研究所 2013年2月27日発表)
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2013/130227/detail.html

この内容を分かりやすく解説した「60秒でわかるプレスリリース」
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2013/130227/index.html

◎独立行政法人理化学研究所
http://www.riken.go.jp/index_j.html

2013年02月28日 11:01

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