慶應義塾大学医学部皮膚科学教室と米国National Institutes of Healthの永尾圭介博士(元慶應義塾大学医学部専任講師)との研究グループは、アトピー性皮膚炎における皮膚炎が黄色ブドウ球菌などの異常細菌巣によって引き起こされることを、マウスを用いて解明しました。
アトピー性皮膚炎は小児から成人によく見られる疾患で、気管支喘息や食物アレルギーに発展し得ることから、一般的にはアレルギー性の疾患であると理解されています。しかし、皮膚局所の炎症が起こる原因は現在まで解明されていませんでした。一方、アトピー性皮膚炎患者の皮膚では黄色ブドウ球菌が多数存在していることが古くから知られていましたが、これがどのようにアトピー性皮膚炎の病態に関わっているかは不明でした。 今回本研究グループは、アトピー性皮膚炎のマウスを作成し、そこで見られる皮膚炎は黄色ブドウ球菌を含む異常細菌巣に起因していることを解明しました。これはアトピー性皮膚炎の理解を大きく前進させるばかりではなく、現在ステロイド剤で炎症抑制に頼っているアトピー性皮膚炎の治療法を大きく変える可能性があり、異常細菌巣を正常化させ、皮膚の炎症を沈静化させるための新しい治療戦略の開発を促す重要な基盤となることが期待されます。
本研究成果は4月21日(米国東部時間)に米国科学雑誌「Immunity」電子版で発表されました。
※詳細は下記URLをご参照下さい
◎慶應義塾大学 2015年4月22日発表
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2015/osa3qr000000t3i7-att/20150422_nagao.pdf
◎慶應義塾大学
http://www.keio.ac.jp/