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L.paracasei MCC1849株が風邪症状および気分状態に及ぼす効果を発表/森永乳業

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森永乳業株式会社では、免疫力を高める作用に着目して、ヒトの腸管から見出された 乳酸菌 Lactobacillusparacasei MCC1849 株の摂取が、風邪などの自覚症状に及ぼす効果について、九州女子大学 近藤順子准教授、三浦公志郎教授との共同研究を実施いたしました。今回、乳酸菌 L. paracasei MCC1849 株の摂取によって、風邪の自覚症状が低下し、症状が軽減する可能性を見出しました。本研究結果は、日本食品免疫学会第 12 回学術大会(2016 年 11 月 9~10 日、東京)にて発表します。

■研究の背景と目的■
近年、ヒトの腸内に棲みつく多種多様な腸内細菌が、細菌やウイルスに対する宿主の感染防御にはたらく免疫機能に大きな影響を及ぼすことが明らかにされてきました。免疫力を発揮する「免疫細胞」の約 60%は腸に存在するといわれています。これまで、同社では L. paracasei MCC1849 株(シールド乳酸菌、図 1)の摂取が抗原特異的 IgA 産生を促し、インフルエンザ感染モデルにおけるウイルスの増殖や症状の悪化を予防する効果を確認しております。また、超高齢者に対するインフルエンザワクチン接種後の抗体産生の効果を高める可能性も報告しております。今回、加熱殺菌した L. paracasei MCC1849 菌末の摂取が、健常女性の風邪の自覚症状および気分状態に及ぼす効果について、九州女子大学との共同研究にて調査しました。

■研究の内容 ■
対象者 :九州女子大学の 18 歳以上の健常女性 241 名

試験デザイン :ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験

内容 :対象者を、加熱殺菌した L. paracasei MCC1849 菌末 1 包あたり 100 億個あるいは 300 億個を摂取する群(以下、100 億群、300 億群)、およびプラセボ粉末を摂取する群(プラセボ群)にランダムに分け、2015 年 10月~2016 年 1 月の 12 週間、1 日1包摂取いただきました。風邪に関する自覚症状(せき、喉の痛み、鼻水、鼻づまり、頭痛、倦怠感、発熱)の症状スコアは、摂取2週間前から12週間、毎日日誌に記録して解析しました。また、L. paracasei MCC1849 菌末の摂取前、摂取6週目および摂取 12 週目に気分プロフィール検査(POMS2 短縮版)を実施し、対象者の気分状態を評価しました。

■結果の概要■
1.風邪の自覚症状に対する影響
・ 摂取期間中(12 週間)に風邪の自覚症状があった人の割合は、解析対象集団全体をみると、100 億群、300 億群ではプラセボ群と比べやや低値を示しましたが、群間での有意差はみられませんでした。

・ 一方、過去1年間に風邪の自覚症状が1回以上あった集団を対象に解析したところ、風邪の自覚症状があった人の割合(図 2)および症状の発現日数、症状スコアは、いずれもプラセボ群と比べ 100 億群で有意に低値となり、300 億群においても有意差はみられませんが低値を示しました。

2.気分状態に対する影響
気分プロフィール検査の結果、摂取開始 6 週目、12 週目においてプラセボ群では、摂取前とくらべてポジティブな気分状態の指標「友好(Friendliness)*1」と「活気-活力(Vigor-Activity)*2」のスコアが低下しました。この理由として、摂取期間と同時期に行われた学力試験による精神的ストレスが、対象者の心理状態に影響した可能性が考えられました。一方で、L. paracaseiMCC1849 菌末 100 億群では「友好」、「活気-活力」の低下が有意に改善し、300億群でも「友好」が高値を示しました(図3)。

*1「友好」とは、他人に対して信頼感や思いやりのある前向きな気分を指す
*2「活気-活力」とは、いきいきして活動的な気分、やる気に満ちた前向きな気分を指す

■まとめ■
以上の結果から、免疫力を高める作用に着目した L. paracasei MCC1849 株の摂取は、風邪を引きやすい方での風邪の自覚症状の発現を抑えるとともに、発現した症状のスコアや日数を軽減する可能性が示されました。また、学力試験などのストレス状態にも影響し、ポジティブで前向きな気分状態の維持に役立つ可能性が示唆されました。

森永乳業は、本研究で得られた知見を活かして、食品への製品応用を図り、体調を崩しやすい季節に負けない、心身の健康維持に貢献します。

■参考情報■
【乳酸菌の免疫賦活作用とは】
摂取することで体に良い影響を与える微生物をプロバイオティクスと呼び、乳酸菌はビフィズス菌とともに、ヨーグルトなど様々な食品の中でプロバイオティクスとして利用されています。体内の免疫細胞の約60%が腸にあることから、乳酸菌はその免疫細胞にはたらきかけることで、免疫機能を調節すると考えられています。一部の乳酸菌はインフルエンザウイルスなどの感染に対して防御作用を示すことや、アレルギーの症状を軽減することなど、免疫機能を調節することが報告されています。

【乳酸菌 L. paracasei MCC1849 とは】
L. paracasei MCC1849株(シールド乳酸菌)は、森永乳業の保有する数千株の中から「免疫力を高める」をキーワードに選ばれた乳酸菌です。盾(シールド)のように外部からの敵を防御することをイメージして、森永乳業がシールド乳酸菌と名づけました。加熱殺菌体でありながら免疫賦活作用を有する乳酸菌であることから、これまで生菌では利用しにくかった多様な食品への応用が進んでいます。

【気分プロフィール検査(POMS 2 短縮版)とは】
本検査法は、医療現場や教育、福祉など健康に関わる分野で広く用いられる心理検査です。「友好」は他者に対するポジティブな感情、「活気-活力」は、活力があるポジティブな感情の指標として評価されます。

【森永乳業のこれまでの取り組み】
同社では、L. paracasei MCC1849 株(シールド乳酸菌)の免疫賦活効果に関する機能性を基礎研究および臨床試験にて検証してきました。これら研究成果を応用し、シールド乳酸菌を配合したヨーグルトや栄養補助食品を開発しております。下記は、これら取組みに関連する学会発表の一覧です。

・ 乳酸菌 Lactobacillus paracasei MCC1849 による IgA 産生促進作用と感染防御作用(新井 聡ら、日本農芸化学会2014 年度大会、2014)

・ 乳酸菌Lactobacillus paracasei MCC1849殺菌体の摂取が液性免疫に及ぼす影響(岩淵 紀介ら、日本食品免疫学会第10回学術大会、2014)

・ 乳酸菌 Lactobacillus paracasei MCC1849 の摂取は濾胞性ヘルパーT 細胞を誘導し腸管の IgA 産生を促進する(新井 聡ら、日本食品免疫学会2015 年大会、2015)

・ 乳酸菌 Lactobacillus paracasei 菌体の摂取による健常女性の感冒症状に対する効果(村田 麻衣ら、日本食品免疫学会第12 回学術大会、2016)

【詳細は下記URLをご参照下さい】
森永乳業株式会社 2016年11月9日発表
森永乳業株式会社 公式サイト

[ 特 集 ] 機能性表示食品制度[機能性表示対応素材] 《更新随時》

 

2016年11月09日 11:10

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