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「花椒オイル」の新たな機能性を発見 ~虫歯菌の増殖抑制効果による抗う蝕作用~ /オリザ油化

オリザ油化株式会社は、唾液分泌促進の効果を訴求した機能性食品・化粧品素材「花椒オイル(Saliva Moist™)」を 2019 年に上市した。この度、「花椒オイル」の新たな機能性として虫歯菌の増殖を抑制する抗う蝕効果を見出し、特許を出願したので紹介する。

同社では 2019 年の上市にあたり、花椒果皮に含まれる成分のひとつであるヒドロキシ-α-サンショオールに注目した。この成分が侵害刺激受容体のアゴニストとして唾液腺の腺房部の細胞のTRPV1 や TRPA1 と呼ばれる受容体に結合し細胞膜の様々なチャネルと作用することで水分が分泌され、唾液の分泌促進に繋がると考えた。近年ではドライマウスの症状に悩む患者が増加しているため、ドライマウスを改善するために唾液分泌を促進するオーラルケア素材は重要であり、市場から切望されている。そこで、共同開発を行っている株式会社アヴェデスでは口腔乾燥の自覚症状のある女性 9 名を対象に臨床試験を実施した。花椒オイル含有のシームレスカプセルを 4 週間、毎食前に 3 粒摂取したところ、唾液分泌量は初回摂取後の測定において有意に増加することが確認された。また、摂取 2 週間後、4 週間後における唾液分泌量は初回摂取後と比較するとやや減少傾向にあるものの、摂取前と比較して増加することが確認できた。一方、求められている口腔ケア機能の一つに口腔細菌の正しいコントロールが挙げられる。そこで今回は、口腔細菌の視点から抗う蝕効果について検証した。

う蝕の発生の予防には、その原因となるストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)菌を殺菌することと、S.mutans 菌が産生する酵素であるグルコシルトランスフェラーゼを阻害する方法が知られている。口腔内に残った飲食物中のショ糖の一部がグルコシルトランスフェラーゼの作用によって水不溶性で付着性の強いグルカンに変化し、それが口腔内の微生物とともに歯の表面に付着して歯垢(プラーク)を形成する。そして、歯垢内の微生物(特に S.mutans 菌)が飲食物中の糖を代謝して酸を生成し、この酸が歯のエナメル質を脱灰し侵食するのがう蝕である。したがって、歯の表面に付着した歯垢を歯磨き等により取り除くことと共に、口腔内における S.mutans 菌を殺菌し、歯垢を生じさせないようにすることが、う蝕予防に最も有効な手段となる。

そこで、同社では in vitro の実験系にて、花椒オイルが S.mutans 菌の増殖を抑制する、または殺菌する作用があるか確認をおこなった。試験方法としては、段階希釈したサンプル(産地 A から Dの花椒)またはポジコン(ベンジルペニシリンナトリウム)を 96well plate に分注した培地 1well に添加し、希釈した S.mutans 菌の菌液を接種したのちアネロパックを使用して嫌気条件下での培養を行った。その後 1 日間培養し、吸光光度計にて吸光度を測定(測定波長:600 nm)し、測定した吸光度から各サンプル濃度における増殖阻害率を算出した(図 1)。サンプル溶液は DMSO に溶解後、最終 DMSO 濃度が 1 %となるように培地で希釈をおこなった。

この結果より、花椒オイルにはほぼ濃度依存的に S.mutans 菌の増殖抑制効果があることが確認できたため、口腔内においても S.mutans 菌の増殖抑制効果が期待できると考えられる。

同社では、この新機能についての特許出願を既に完了している。更に、これまでに見出していたドライマウス症状改善作用としての唾液分泌促進効果と併せて、2 つの口腔ケアの効果をもつ新素材として今後提案していく予定である。応用商品としては幅広いアプリケーションを想定しており、キャンディ(ハード、ソフト)、チューインガム、グミ、可食フィルム、チュアブルタイプの錠菓、歯磨き粉、マウスウォッシュ等々への処方提案を進めていく予定である。

【詳細は下記URLをご参照ください】
オリザ油化株式会社  2020年4月17日【PDF】発表
オリザ油化株式会社  公式サイト

2020年05月15日 11:40

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