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乳清タンパク質ホエイプロテインの新たな効能を発見/東北大学

(  発表内容  )

【発表のポイント】
◆ 肝臓から分泌されるホルモンFGF21(注1)は肥満・2型糖尿病を誘発する食習慣で早期に増加することが判明した。

◆ 末梢由来のセロトニン(注2)分泌を遺伝子学的に抑制すると、肝臓からFGF21分泌が抑制された。

◆ 乳清タンパク質のホエイプロテインは、末梢由来セロトニン分泌を抑制し、肝臓からFGF21分泌を抑制することで、食事性に誘発される2型糖尿病の発症予防に役立つことが期待される。

【概要】
肝臓から分泌されるホルモンFGF21は、インスリン感受性を高めるホルモンで、肥満や2型糖尿病では血中FGF21濃度が増加するとされていました。東北大学未来科学技術共同研究センター野々垣勝則教授らは、高脂肪食をマウスに与えると、肥満・糖尿病を来たす前に、早期から血中FGF21濃度が増加することを明らかにしました。このことから、FGF21は肥満・2型糖尿病の発症を促す食習慣を反映するバイオマーカーとしての役割が期待されます。

また、末梢由来セロトニン分泌を遺伝子工学的に抑制させたマウスでは肝FGF21の発現と血中FGF21濃度が低下することが判明しました。更に高脂肪食とともに乳清タンパク質のホエイプロテインをマウスに投与すると、高脂肪食による末梢由来のセロトニンと肝臓由来のFGF21の分泌増加が抑制され、インスリン抵抗性と高血糖が改善されました。

これらの所見からホエイプロテインは末梢由来のセロトニン分泌を抑制し、肝臓からFGF21分泌を抑制することで、インスリン抵抗性を改善し、高血糖を抑制することが示唆されました。こうしたメカニズムでホエイプロテインの摂取は食事性糖尿病の発症を予防することが期待されます。

本研究成果は「Scientific Reports」に令和2年9月25日に掲載されました。


図1 食事性肥満・糖尿病の発症過程とFGF21

【用語解説】
(注1)FGF21:Fibroblast growth factor 21で 肝臓から分泌されるホルモン。
(注2)セロトニン:末梢由来と脳由来があり、末梢では主に腸から分泌されるホルモン。

問い合わせ先
東北大学未来科学技術共同研究センター
糖尿病制御学研究室 (野々垣研究室)
担当 野々垣勝則
電話&FAX: 022-795-5675
E-mail:katsu*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

【詳細は下記URLをご参照ください】
東北大学 2020年10月7日【PDF】発表
東北大学 公式サイト

2020年10月07日 17:11

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