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皮膚常在菌の新たな検査法を開発/資生堂

(発表内容)
資生堂は、ヤマトエスロン株式会社(※1)、株式会社オルコア(※2)と共同で、短時間で簡便に皮膚常在菌の量とバランスを測定する新たな検査法を開発しました。一般的に、お客さま向けサービスとして実施されている皮膚常在菌検査は、サンプルを採取後、専門機関で解析するため、お客さまが結果を得るまでに1か月程度の時間を要していました。今回、小型の簡易型PCR(※3)検査装置を応用することにより、誰でも簡単に、約40分で検査結果を取得できるようになりました。場所を選ばずその場でお客さまの皮膚常在菌の状態を知ることができるため、高付加価値な店頭体験や新たな美容サービスに繋がります。

資生堂では独自のR&D理念『DYNAMIC HARMONY』の Individual/Universal というアプローチのもと、長年続けてきた皮膚常在菌研究により蓄積してきた膨大なデータから、お客さま一人ひとり異なる皮膚常在菌の状態を、簡便に把握する手法の開発に挑戦しました。今後、横浜・みなとみらいにある研究開発拠点「資生堂グローバルイノベーションセンター(呼称「S/PARK」エスパーク)」にて、本検査法を活用したお客さま向けの独自の皮膚常在菌測定サービスの試験的な導入を検討しています。

※1 ヤマトエスロン株式会社: https://yamato-esulon.jp/

※2 株式会社オルコア: https://orcoa.jp/

※3 PCR:ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)。ウイルスや菌などを含む生物の遺伝子を、増幅させるための化学反応。

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■ 研究背景
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皮膚には約1000種類の皮膚常在菌が存在すると言われ、その種類やバランスは、皮膚の美しさや健康に関連することが近年明らかにされています。当社の先行研究において、敏感肌では皮膚常在菌の多様性が低いことや、プレバイオティクス成分(※4)が皮膚のキメや水分量を改善することなどを見出しており(※5)、化粧品や肌測定システムの開発に応用しています。現在、一般的にお客さま向けに提供されている皮膚常在菌検査は、高度で専門的な実験手技や解析技術、大型の装置が必要であり、サンプルの採取から結果の取得まで、輸送を含めて1か月程度の時間を要していました。お客さまの今の皮膚常在菌の状態を調べ、当社の強みであるお客さま一人ひとりに寄り添った美容部員の高度なカウンセリングサービスと合わせることにより、これまで以上に適切なケアを提案するため、皮膚常在菌の測定技術の汎用化に挑みました。

※4 プレバイオティクス成分: サッカロミセス抽出エキスを含む成分の組み合わせ。肌に有益な効果をもつ有用な菌を増やす効果が期待される一方で、悪玉菌の増殖には影響しない。

※5 敏感肌では皮膚常在菌叢の多様性が低いことを発見(https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002960)

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■ 皮膚常在菌の新たな検査法の開発
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今回、歯周病菌検出装置を開発・販売しているヤマトエスロン株式会社、株式会社オルコアと共同で検査法の開発を行いました。共同開発先が歯周病菌の定量評価に用いていたPCR技術や小型の検査装置を応用し、簡便に皮膚常在菌の種類や量を検出することに成功しました。これにより、場所を選ばず、専門的な技術がなくても、約40分の短時間で結果を得ることができるようになりました。今回、皮膚の美しさや健やかさとの関連が強く示唆されている、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)と、アクネ菌(Propionibacterium acnes)の2種類の常在菌を測定対象としており、これらの量やバランスについて、従来研究用途で用いられてきた手法(16S配列解析法 ※6)と同等な結果が得られることを確認しています。以上により、精度が高く、汎用性のある皮膚常在菌の検査方法が確立されました。

※6 16S配列解析法: 細菌のゲノム中にある16SrRNAをコードする部分配列を解読することにより、どの菌が相対的にどれくらい存在するかを調べる方法

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■ 今後の展望
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【詳細は下記URLをご参照ください】
株式会社資生堂 2022年3月17日【PDF】発表
株式会社資生堂 公式サイト

2022年03月18日 10:52

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