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メラノサイトが“正常機能を取り戻す”というシミへの新たなアプローチ/キリンホールディングス

キリンホールディングス株式会社は、株式会社ファンケルと2019年の資本業務提携を契機にさまざまな共同研究を進めています。

ファンケルは、紫外線などによりメラノサイト(※1)が酸化ダメージを受けて活性化することが、シミ発生の大きな要因であることに着目し、長寿遺伝子(※2)の一種で、高い抗酸化力を持つサーチュイン3(※3)について研究を進めてきました。その結果、サーチュイン3がメラノサイトの過剰な活性化を抑え、さらに、キリンから提供された「紅茶クリーム由来成分(※4)」が、サーチュイン3を増やして正常機能を取り戻すという新たなシミへのアプローチとして有用であることを発見しました。

なお、同研究成果は、第40回 日本美容皮膚科学会(2022年8月6日~7日 於:東京)で発表しました。

(※1) シミの元となるメラニンを産生する色素細胞。

(※2) サーチュイン遺伝子とも呼ばれる。老化抑制機能を持ち、活性化することで細胞の若返りや代謝の増進が期待できる。

(※3) 細胞のエネルギーを生み出すミトコンドリアに局在する長寿遺伝子の一種。エネルギー産生時に発生する活性酸素を除去する働きを持つ。

(※4) キリンから提供された「紅茶クリーム由来成分」とは、1986年の発売当時から「キリン 午後の紅茶 ストレートティー」などの製造工程で採用されている、液色を透明にする独自技術「クリアアイスティー製法」にて取り出された紅茶の成分。

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◎ 研究方法・結果
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■長寿遺伝子サーチュイン3は、メラノサイトの活性化を抑えてメラニンの過剰産生を防止■

サーチュイン3量とメラニン合成酵素であるチロシナーゼ量の関係について調べました。通常のメラノサイトと、サーチュイン3が少ないメラノサイトを用意し、それぞれのチロシナーゼ量を評価したところ、サーチュイン3が少ないメラノサイトではチロシナーゼの量が多く(図1)、メラニンが合成されやすい状態である傾向を確認しました。さらに、サーチュイン3が少なく、チロシナーゼが増加傾向にあるメラノサイトで、紫外線(UVB)照射時のメラニン産生量の変化を調べました。通常のメラノサイトに紫外線を照射するとメラニン産生量はわずかに増加しますが、サーチュイン3が少ないメラノサイトでは、その増加幅が大きいことが分かりました(図2)。このことから、サーチュイン3が少ないメラノサイトでは紫外線の反応性が増幅し、過剰にメラニンを産生する可能性が推測されました。

これらの結果から、紫外線を浴びてもメラニンを過剰産生させないためには、メラノサイト中にサーチュイン3がある程度担保されている必要があると考えられます。

■テアフラビンが多く含まれる紅茶クリーム由来成分にサーチュイン3を増やすことを確認■

メラノサイト中のサーチュイン3を増やす成分を探索しました。一般的に、長寿遺伝子はポリフェノールにより増加することが知られていることから、複数のポリフェノールを評価した結果、テアフラビン類によりサーチュイン3が増加することが分かりました。テアフラビンは主に紅茶に含まれる成分で、カテキン類の酸化重合により生成されます。紅茶は冷却すると、タンニンやカフェイン等の成分が沈殿するクリームダウン現象を起こします。この現象で得られた成分(紅茶クリーム由来成分)を、キリンから提供を受けて検証しました。その結果、紅茶クリーム由来成分には、テアフラビン類が多く含まれることを確認するとともに、サーチュイン3を増やすことを確認しました(図3)。

■紅茶クリーム由来成分の連用により、メラニン産生量の低下が期待できる■

紅茶クリーム由来成分を含む美容液の肌への効果を測定しました。35歳から55歳の日焼けや加齢によるシミがある男女20人において、紅茶クリーム由来成分配合の美容液(紅茶クリーム美容液)と無配合美容液(プラセボ美容液)の半顔使用、2カ月間の連用試験を行いました。初期値のサーチュイン3量とメラニン量を比較すると、サーチュイン3量が多いほどメラニン量が少ないことが分かりました(図4)。また、紅茶クリーム美容液使用によるサーチュイン3量の変化を調べた結果、プラセボ側ではサーチュイン3量の変化はほとんど見られないことに対し、紅茶クリーム美容液使用側ではサーチュイン3量が増加することが確認できました(図5)。同結果より、紅茶クリーム美容液の使用により皮膚サーチュイン3量が増加し、これにより、メラニン産生量の低下が期待できると考えられます。

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◎ 今後の展開
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今回、サーチュイン3がメラノサイトの紫外線反応性を低下させ、メラニンの過剰産生を抑制する機能を持つことを明らかにし、サーチュイン3を増やす成分として、紅茶クリーム由来成分を見出しました。同結果より、サーチュイン3を増やすことが、新たなシミの発生抑制のアプローチとなる可能性が示唆されました。
今後はこの知見を生かし、サーチュイン3とメラノサイトの本来もっている機能に着目して透明感のある肌へ導く新たな化粧品開発を目指します。

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キリングループは長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」を策定し、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV(※5)先進企業になる」ことを目指しています。その実現に向けて、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、キリングループが長年培ってきた高度な「発酵・バイオ」の技術をベースにして、人々の健康に貢献していく「ヘルスサイエンス領域」(ヘルスサイエンス事業)を立ち上げ、育成を進めています。ヘルスサイエンス領域では、「免疫」および「脳機能」などを重点領域に定め、さまざまな研究開発を行っています。
キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します。

(※5) Creating Shared Valueの略。お客様や社会と共有できる価値の創造。

【詳細は下記URLをご参照ください】
キリンホールディングス株式会社  2022年9月29日発表
キリンホールディングス株式会社  公式サイト
株式会社ファンケル  公式サイト

2022年09月29日 12:14

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