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麹甘酒によって免疫にかかわるたんぱく質IL-10とIL-12をマウス細胞がつくることを確認/八海醸造

八海醸造株式会社では、日頃から、麹甘酒についてお客様からお寄せいただいた便通改善効果や肌の保湿維持などの健康効果の検証を進めています。それだけではなく、新しい健康機能の探索も行っています。冬は、風邪やインフルエンザ予防への期待から免疫調節食品が注目を集める季節でもあり、それに備える検証もおこなっています。今回はその免疫に関して新たな事実を確認しました。

私たち人間の身体は、元来、外から侵入してくるウイルスや細菌などから体を守るために免疫システムを備えています。この免疫システムは、外部から侵入したウイルスなどに反応して炎症を起こしたり、逆にそうした炎症を抑えたりすることで身体の免疫を守るものです。

同社では、麹甘酒が免疫に与える影響を検証してきましたが、この度、麹甘酒をマウス樹状細胞に添加すると、免疫に関与するサイトカイン ※1 であるインターロイキン(IL) -10 ※2 およびIL-12 ※3 がつくられることを確認しました。また、これらサイトカインの誘導は麹甘酒中に含まれる麹菌体によって引き起こされていることを確認しました。

この検証では次の4 種類のサンプルをマウス樹状細胞に添加してIL-10 およびIL-12 が誘導されるかどうか、つまりつくられるかどうか、を検証しました(図1 および図2)。同社の麹甘酒製品(1)「麹だけでつくったあまさけ」、米を原料とした(2)「米糖化液」、(3)「麹菌体」(液体培養した麹菌を滅菌水で洗浄して凍結乾燥したもの)、(2)の米糖化液に麹菌体を加えた(4)「米糖化液+麹菌体」です。

無添加を陰性対象、IL-10およびIL-12がつくられることがわかっているLPS(リポ多糖) ※4 を陽性対照としました。その結果、麹甘酒は免疫に関与するIL-10 およびIL-12 を濃度依存的につくらせることができ(図1 および2 の青色グラフ)、一方で米糖化液はつくらせることができない(同 黄色グラフ)ことから、麹甘酒に含まれる麹菌や麹菌が生産する成分が効いているとわかりました。

さらに、麹菌体そのものはIL-10 およびIL-12を強くつくらせる力があり(同 緑色グラフ)、麹甘酒に含まれている麹菌体の量を米糖化液に加えることで麹甘酒と同様にIL-10およびIL-12をつくらせることができました(同 赤色グラフ)。


図1.IL-10

これらの結果から、麹甘酒中のIL-10 およびIL-12 をつくらせる成分は、麹菌体そのものであることがわかりました。

この研究内容は、第74 回日本生物工学会大会(会期2022 年10/17 ~ 20, オンライン開催)にて発表しました。

今回の研究は、動物細胞を用いた研究ですが、少なくとも麹甘酒が直接的に免疫細胞機能に影響をあたえる可能性を示しました。
今後は、実際に麹甘酒を飲用することで動物やヒトの免疫機能が影響を受けるかどうかの検証を進めます。

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■ 発表演題
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「麴甘酒中の麴菌体は、マウス樹状細胞を刺激してIL-10/IL-12 を誘導する」
村山芳香1, 榎本利彦1, 小平一也1, 辻典子2,3, 倉橋 敦1

(1 八海醸造株式会社, 2 十文字学園女子大学 人間生活学部 食品開発学科, 3 日本大学 医学部病態病理学系微生物学分野/ 粘膜免疫学・共生微生物学分野)

第74 回日本生物工学会大会( 会期:2022 年10 月17 日 ( 月) ~ 10 月20 日 ( 木) 、オンライン開催)

(注釈)
※1. サイトカイン
サイトカインは、主に免疫系細胞から分泌されるタンパク質の総称で、極めて微量で生理作用を示します。

※2. IL-10
炎症性サイトカインを抑制し、免疫作用の鎮静化(抗炎症)を担うサイトカインの1 種です。

※3. IL-12
体内に侵入してきたウイルスや細菌に対する細胞性免疫を担うTh1 細胞の分化などを行い、炎症反応に関与しているサイトカインの1 種です。

※4. LPS
グラム陰性細菌の細胞壁の構成成分で、免疫応答を引き起こすことが知られている物質です。

【詳細は下記URLをご参照ください】
八海醸造株式会社/PRTIME  2022年11月9日発表
八海醸造株式会社社  公式サイト

2022年11月09日 15:05

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